大きな存在 (GDside) ページ35
「1度落とすとね・・・調整が狂ったり、歯が欠けたり、かみ合わせが悪くなるの。ハサミ屋にいって再調整して研いでもらって使う人も多いけど・・・私は1度落としたシザーは使わないんだ。」
「なんで・・・?」
「1度駄目になるとどんなに調整して研いでも・・・使った時の感触が違う気がして。これ・・・学生時代に・・・初めて買ったシザーなの。大切にしてなんだけどなぁ。」
悲しそうにハサミを手にするAは
「私が持ってるシザーの中では一番の安物だけど、当時の私には10万は大金だったんだよ?」
そう言って悲しそうに笑った。
「何・・・考えてた?」
「え?」
「これ・・・切りながら何考えてた?」
中途半端に切られたウィッグと床に散らばる毛。
何度も見てきたAのCut姿。
指を切るような真似はしないはず・・・だろ?
「・・・・・・あの人の事。」
「あの人って・・・母親の事?」
「うん・・・小さい頃・・・父と喧嘩した母を喜ばせたくて母のウィッグで見よう見まねで三つ編みをしたのを見せようとしたの。」
「うん・・・」
「でも・・・あの人は私の手を振り払って、あっちに行ってて!どうして私の言うことが聞けないの!って怒鳴ってた。」
ただ、喜ばせたくて
ただ、笑って欲しかった。
それだけだったのに・・・
そう言ってAは包帯を巻いた手で
Cutし始める。
「おい、やめろって・・・・・・」
「なのに・・・っ、是非なんて、なんで・・・!」
是非?何の・・・話だよ。
なぁ、なんで・・・・・・言わねぇんだよ。
「Aっ・・・A!!」
両手を掴んで、それを止めさせて
「何が・・・あったか言えよ。ちゃんと・・・聞くから。お前が辛いなら受け止めてやるから。」
Aの瞳からは涙が流れて
「っ・・・ヒクッ・・・・・本当は・・・会いたかったの・・・今の私を見て・・・頑張ったねって会いに来てくれるんじゃないかって・・・思ってたのにっ・・・」
そんな言葉に強く抱きしめたんだ。
俺は・・・Aの何を見てた?
ここまでこいつを揺らす存在に・・・・・・
気づいていなかったんだ。
母親を【あの人】そう呼ぶAは
憎んでいるんだとばかり思っていたんだ。
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Miii(プロフ) - ミーさん» 初めまして(^^)/コメントありがとうございます!一気に読んでいただいて嬉しいです(;o;)第二弾は明日更新予定なので、また読んでください☆ (2016年1月26日 22時) (レス) id: 0e2ce82ac8 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - miiiさん 初めまして!初めの作品から一気に読ませて頂いてます。 miiiさんの書くジヨン君大好きです!続き 楽しみにしてまーす! (2016年1月26日 22時) (レス) id: febdfef9f9 (このIDを非表示/違反報告)
Miii(プロフ) - みいたすさん» コメントありがとうございます(ノ´▽`)ノ♪そして熱いメッセージ!とっても嬉しいです\(^o^)/今後展開も楽しみに待っててください(^^)/第二弾もよろしくお願いします☆ (2016年1月26日 21時) (レス) id: 0e2ce82ac8 (このIDを非表示/違反報告)
みいたす - この作品大好きで大ファンです!!でもこの親と兄…早く解決してほしいです…ぶった切ってほしいです。本当に本当に本当に本当に、、、そしてそんなの上回るくらいジヨンと2人がラブラブで誰もが羨む最高のカップルなんだと有名になってほしいです。心から願ってます! (2016年1月26日 21時) (レス) id: 0fea0fcb23 (このIDを非表示/違反報告)
Miii(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます(ノ´▽`)ノ♪ (2016年1月26日 19時) (レス) id: 0e2ce82ac8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Miii | 作成日時:2016年1月24日 3時