たくさんの缶詰。【wrwrd！】短編集 (ページ16)

今日:7 hit、昨日:22 hit、合計:111,973 hit

髪。 osmn. ページ16

｢Aの髪綺麗なのに、勿体ないなぁ｣

結構前のことだ
私が自然乾燥と言って髪がびちゃびちゃのまま寝ようとした時に
オスマンから言われた言葉だ。

｢だって髪地味に長いし多いから大変なんだもん。｣

そう言うと彼は首を少し傾げて

｢じゃあ俺がやったろうか？｣

とついさっき彼が使った机の上に放置されたままのドライヤーを手に取った。

本当にやるとは思っていなかったがたまにはいいか。

私はソファに座ってその後の背もたれ越しに彼が立つ。

お風呂上がりだからかオスマンの香りがふわっと広がった気がした。

その次に髪の毛に当てられる温風と少しばかりの騒音。

最初はドライヤーの音がうるさいと感じていたが
段々とBGMのようになる。

それからさっきも言った彼の香りと

髪に触れている彼の手が気持ちよくて眠くなる。

次第に首が支えきれなくなったのかたまに頭がコクッと下に落ちてしまう。

そんな私に気づいたのかオスマンはドライヤーを一回止めて

｢寝ててもええんやで｣

と半笑いでまた再開し始めた。

普段だったら首を横に降ると思うけど今日はそうもいかないみたいでしっかりと目を閉じた。

｢おやすみ、A。｣

(今日もやって!!!!)

(なんやA、もしかしてハマったんか？)

(……てへ。)