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ちょこんと座る少女と、大きなケースを抱えた成人男性。
それは、旗から見ればなんとも異色な光景で。
成人男性＿＿もとい姫川真は、自分に向けられた局員の訝しむような視線を受け流していた。
(……こんな子供が情報提供者か………篠原特等はお疲れのようだね)
正直、期待できないと思った。見たところ、まだ成人すらしていない少女だ。
そんな確証のない話に時間を裂けるほど、CCGは暇じゃない。
というか、不自然に情報提供と称してCCGに乗り込むつもりの喰種だったらどうするつもりだ。
「………ゲートの奥、行きたい」
「……急にどうしたんだい？…確か、Aさんで合っているよね」
「自分は喰種じゃない。」
そんなことを考えていたら、少女の発言に虚を突かれ、思わず視線が鋭くなる。
……まさか、彼女はRcゲートの意味を理解しているのか。
それ以前に、自分が思っていることを読み取って、それを先回りで払拭しようとした？
歳の割に教養もありそうだし、今まで一人だけで生きてきたと言われても頷ける気がする。
彼女の両親は一体どんな教育を施したのだろうか？
そもそも、彼女の両親が喰われたのはいつの話だ？
記憶にも残っていないとなると、十歳よりは確実に前だ。五年と少しの時間で、彼女に生きるすべを全て教えこんだのはなぜか。そもそも、彼女の両親が喰い殺されたというのは＿＿＿
「……ゲート、通らなくてもいいの？」
考えすぎた、いつもの悪い癖が出た。
「ああ、かまわないよ。君があまりにも賢いものだから驚いていただけに過ぎない。」
少女は訝しげに姫川を見ていたが、とりあえず“別に、どっちでもいいけど”と呟いた。
思ったより、自分の証言を疑われていることに腹が立っていたらしく、年相応なところもあるなと少しだけ微笑ましく思う。
「それでは、いくつかお話を伺いたいのだけど＿＿」
続く (更新停止中)
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