✵こんばんは、余計なお世話ですね。 ページ13
喰種捜査官は喰種を駆逐するのが仕事だ。
喰種捜査官は喰種を殺し続けるのが宿命だ。
喰種捜査官は喰種を殺すのが使命だ。
喰種捜査官は喰種を殺して、殺して、殺すのが__生きる意味だ。
…生憎、自分にはそうやって割り切ることができない。
滝澤くんには生きていて欲しいし、願うことならまた一緒に過ごしたい。
だけど、それと同じくらいに、彼を殺すべきだと思ってしまう。
「……我ながら、狂ってる」
喰種は敵だ。
奴らはヒトのフリをして、ヒトの世界に紛れ込み、罪のない人を食らう。
だから、自分が彼らを見つけ次第、殺すべきだと。
それが、正しいことなのだと。
「__秘川」
「…お久しぶりだね、真戸准特等。ハイセ上等はお元気かい？」
「あぁ。最近は調子が良いらしい。……それより、お前こそ大丈夫なのか？最近様子がおかしいぞ」
「そうかな。いつも通りだと思うのだけど」
真戸アキラは相変わらず勘の良い御仁だ。
「……滝澤のことは残念だったが、滝澤はすでに喰種と化している。引きずる必要も、気に病む必要もない」
「……そうだね。うん、ありがとう」
彼女の言う通り、自分はもう彼のことを引きずってはいない。
__はずなのに。
「……秘川？」
「あぁ、ごめんよ。なんだい？」
「いや、なんでもない。お前のそういうところ、あまり好きではないよ」
「……どういうところが」
「そういうところがだ。……まあいい。私はそろそろ暇を貰うよ」
「分かった。自分はもう少しここにいるとしよう」
「……あまり根を詰めすぎるなよ。では」
「はいはい、准特等殿」
「……お前も、准特等だろう」
真戸准特等が去り、再び静寂が自分を包む。
「はぁ……自分は何をしているんだろうな……」
思い出すのは、一ヶ月も前のオークション掃討作戦。
あのとき自分は、滝澤くんを殺しにかかった。
滝澤くんは自分の手でかつての仲間を殺した。
滝澤くんは喰種の味方をした。
滝澤くんは喰種の側についた。
滝澤くんは___。
「……」
___彼は、本当に喰種の側についたのか？
「…今更だな。彼は喰種だ。……自分が殺すべき相手」
そのはずなのに。どうしてか、胸騒ぎが収まらない。
滝澤くん＿＿オウルと呼ぶべきか＿＿と最後に話してから、一ヶ月も経つというのに。
✵自問自答、下らないですね。→←✵こんにちは、嘘つきですね。
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