０３，雑用と桃瀬くん ページ3
。
あれから何事もなく授業を受け、気がつけば放課後に。
桃瀬くんに挨拶をして、帰宅をしようと教室の扉に手を掛けたところで、先生から声をかけられた。
「おい，神崎、ちょっといいか？
あ〜よかったらなんだが、これ、理科室まで運んでくれないか？
先生これから部活に行かなくちゃいけないんだ……」
先生が指を刺した先には教卓の上に乗った大量のレポートが。
……そういえば、今日は理科のレポートの提出日だった。
ついさっき私も提出したばっかりなので、すんなりと思い出す事ができた。
……少し、帰宅時間が遅くなるけど、私は帰宅部だし暇だと見込んでのお願いだろう。
しょうがないと納得して、先生に返答をする。
「それぐらいでしたら、大丈夫ですよ
……ええと、理科室って事は、クラレ先生の所ですかね？」
「おお！やってくれるか，ありがとうな！
じゃあ、よろしく頼んだ！」
急いで教室から出て行った先生。……いや、どこまで運ぶか聞いてないんですけど！？
まぁいいか。理科ということは、おそらくクラレ先生だろうし、間違っていても先生の責任だ。
私ﾜﾙｸﾅｲﾖ。
よっこらしょ、と。
私が大量のレポートを持って、教室から出ようとすると、また後ろから声をかけられた。
「神崎、大丈夫か
その量のレポート、重いやろ？俺、一緒に持ってこうか？」
話しかけてくれたのは、桃瀬くん。
本来ならば、その優しさに甘えて、一緒に持ってもらう所だが、今回は遠慮しておく。
私は昼休みに流れていた放送を聞き逃すほどじゃないからね。
「いいよ。レポート、そんなに重くないし
それに、桃瀬くん。これから生徒会の集まりがあるんでしょ？
昼休みに放送流れてたの、聞いてたからね！」
「……だったらええけど
キツくなったら近くの人に言うんやで？」
まるでお母さんみたいに心配する桃瀬くんが面白くて、つい笑ってしまった。
笑っている私を不思議そうに眺める桃瀬くんに別れを告げ、再度歩き出す。
クールだと思っていた桃瀬くんの意外な一面。
これがギャップってやつなのかと考えてみるが、クールとお母さんがどうしても結びつかない。
……まっ、それも桃瀬くんの個性か。
＿＿＿＿＿＿＿
有難いお手伝い
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：フィナンシェ | 作成日時：2022年11月18日 22時
