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小さい頃、
相手のファールで倒されることが多かった。
痛くて立ち上がることができなくて、
ここで挫けそうになる。
みんな審判に講義するのに夢中で誰が倒れたなんて眼中にもない。
「大丈夫A!?」
そんな中、誰よりも焦った様子で俺の事を心配してくれる人がいる。
滉くんだ。
どんなにポジションが離れていてもいち早く走って駆け寄って来てくれた。
毎回、痛いよねと、
立ち上がらせてくれて頭を撫でてくれた。
我慢していた涙が心配されるほどに溢れてくる。
相手に倒されただけで泣くなんて
なんて情けないのだろう。
滉くんは俺の涙を拭い、
審判にしっかりこと細かく事情を説明する。
倒した相手にも、「ちゃんと謝って」と冷静に怒ってくれるんだ。
今思えば笑える話だが、
当時の俺は随分と滉くんに助けられていたみたいだ。
助けてって言わなくても助けてくれる。
声を出す前に手を引っ張ってくれる。
立ち止まっていたら背中を押してくれる。
それが小さい頃から身についてしまった俺は滉くんがいないと生きていけない。
――――
「A……」
俺の事を弱々しく心配そうに呼ぶ滉くんの声がして目を覚ます。
自分は家にいてソファーで横になっている。
あれ試合は？
なんで家で寝ているんだ？
もしかして全て夢だったとか……
「大丈夫？俺の事ちゃんと覚えてる？」
隣を見ると俺の目が覚めるまで待っていたのか少し嬉しそうな滉くんが頭を撫でた。
「……あれ、俺どうなったんだっけ」
よく状況が理解出来ず滉くんに問いかける。
「A試合中に怪我して病院まで運ばれたんだよ。右手をスパイクで踏まれたんだって。それで病院までは俺が迎えに行った。で、今ここね。」
滉くんは俺にわかりやすいようにゆっくりと喋ってくれる。
「びっくりしたんだから。急に電話がかかってきて」
自分の手の甲を見ると痛々しく包帯が巻かれていた。
包帯からは赤く血が滲んでいて夢ではなかったことが嫌でもわかる。
「骨は折れてなかったみたいだよ。切り傷と打撲だって。」
「すっごい痛いんだけど」
意識がはっきりしてきたので、
徐々に手の方に痛みが集中してくる。
「どうする？」
「んー？」
「ベッドで横になりたい？俺運ぶけど」
「ううん大丈夫。ここでいい」
「はいよー」
リビングにいた方が滉くんが心配してくれるこっちにいたい。できるだけ滉くんの傍にいたい。
→
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かんざき(プロフ) - かむかむさん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいです。リクエストご期待通りに仕上がるか分かりませんがちょっくら書いてみたいと思います！待っていてください (2023年1月27日 22時) (
レス) id: 5412be5dc6 (このIDを非表示/違反報告)
かむかむ - 雷雷､とっても面白かったです！リクエストが可能かは分かりませんが､こんな感じのお話を17番さんで見てみたいです！ (2023年1月27日 18時) (レス) id: 824bd81ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かんざき | 作成日時：2023年1月17日 17時
