文学監督生と帝国図書館 (ページ4)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:619 hit

4 ページ4

【学園長室】 no side

「今は館長やってるんですか？貴方が？え〜立派になったもんですねぇ」

その呟きは電話に拾われ、「貴方」へと運ばれる。
しみじみと言うその様は、近所か親戚の子を懐かしむような色があった。

「はいはい、大丈夫ですよ、安心してください！とびきりの爆だ……順応力も協調性もうちでピカイチですから…ええ…もし帰り道がそちらでわかれば良いのですがね…ああ、そうですね……アクタガワ、…？いや、私は知りませんけど…なるほど、そんな有名な作家がいるんですね。伝えてみますよ！」

【館長室】館長side

『今は館長やってるんですか？貴方が？え〜立派になったもんですねぇ』

年齢不詳の旧友はそう感嘆の息を漏らした。
もう子供じゃないのだぞと苦笑が溢れる。

「それで…無理を言ったが良いものなのか？そちらの世界に飛ばされた、監督生を…」

『はいはい、大丈夫ですよ、安心してください！とびきりの爆だ…順応力も協調性もうちでピカイチですから』

大丈夫かと聞いたのはそう言う意味じゃないんだが。
爆弾って言いかけた気がするが取り繕えてないぞ。
というか、そう言う意味で言うのならば、NRCピカイチに信頼性はない。
あの生徒の順応力はともかく協調性など知れたことである。
まあ、そんなところはウチと同じなので、そこでなんとかやっていけてる異世界人なら、こちらでもなんとかなるだろう。

そういう趣旨の事を告げると、うんうんと頷かれる。

『もし帰り道がそちらでわかれば良いのですがね…』

「この世界が監督生の元の世界という可能性もなくはないんじゃないのか？ニホン、なんだろう」

『ああ、そうですね』

「じゃあ、芥川龍之介、という名前に聞き覚えがあるか聞いてみてくれ。本好きなんだろ？もしこの世界の日本国出身の者なら、すぐにわかる」

『アクタガワ、…？』

君に聞き覚えはあるかと聞けば、全く。と返された。
当たり前だ。

『なるほど、そんな有名な作家がいるんですね。伝えてみますよ！』

＿＿＿＿＿なお、学園長の元気な声は、あっさりと忘れ去られた。

「芥川龍之介ですって？！！！！学園長から？！！聞いてません！！！」byA