文学監督生と帝国図書館 (ページ3)

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後からちょっと考えると本当に可笑しい。

なんで私の元の世界にはどうしようもなく戻れなくて、「知人」のいる「別の世界」には行き来できるんだとか。
なんで、錬金術が得意なアズール先輩じゃなくて、こんな異世界から来た魔法もろくに使えない私だけに頼んだんだとか。

鏡の前に立って一呼吸置くと、足を踏み入れる。

＿＿白い光に、乗せられて。

「…お邪魔します」

木造建築。

え、と思わず声が漏れる。

西洋風なんだけど、この感じ、なんていうか。
日本にある西洋風の建物、みたい。

ツイステッドワンダーランドに来てからの建築物は、どれも石造りだとか、陶器とか。
お城というよりも、完全なcastleだった。
木で出来ていても鮮やかに塗りたくられていたり、オンボロだったり、漆黒だったり。
日本の家じゃないのだ。

でもなんか、ここは…

「来たか」

声のする方を向くと、そこには猫がいた。
どこの世界線にも一匹は喋るネコっぽいものがいる感じなのだろうか。
ドラえ◯んとグリムだけかと思っていたのは、浅はかだったらしい。

「お前が司書務めをするという監督生だニャ？」

「あ、はい」

グリムの語尾も可愛いけれど、このネコ(仮)の語尾も猫らしい猫でかわいいなと思う。
頭の中で「だからオレ様は猫でも狸でもないんだゾ！」という自称親分のツッコミが聞こえたけれど、スルーした。そうだな、確かに猫や狸よりずっと面倒ごとを運んでくるよ。可愛いけどな。

「うむ。着いてくると良い」

ぴょんっと机から飛び降りる。
長い猫のしっぽが揺れる。

すごい。ちゃんと猫だ。

妙なところに感動しながら、猫の後を着いていった。