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そういうことは先に言ってほしい。
そう思ったけれど、話の流れ的に後告げになってしまったのは仕方がないと思ったので口を噤んだ。
そもそも。
こことは別の世界だからって、それが元の世界とは限らないのだから。
「それで、なんなんですか」
「学校生活との両立はできましょう。それに、錬金術のお手伝いは永久ではありません。人手不足らしくてですね。一定期間だけ頼まれたのですよ」
くるくると指で小物を弄びながら答える様子に急き立つ。聞いた質問に答えるくらいはしてほしいのだが、先ほどの私の質問に答えているらしかった。
のらりくらりと的を得ない回答へ訝しげに先を促すと、はたと彼は戯けた身振りを止め、くるりと私に向き直った。
「もしかしたら、貴方の知っている世界かもしれない。……試しに行ってみませんか」
そして真面目な口調から一転して、唇に綺麗な弧を描く。
「グリムくんの監督は大変でしょう。少しの休暇と言えばそうですね。ぜひ別の場所で気を休めてきてください」
にこりと微笑んだその顔は、やっぱり胡散臭かった。
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作者名:にこつもみ | 作成日時:2022年10月29日 13時