うち、きますか？ (ページ3)

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たぶん10キロは走ったと思う

一旦休憩しようと、公園に入った

ベンチと自販機しかない公園

ここを折り返し地点にすることが多い

だから今日も
水でも買って、ベンチで休憩して、帰ろうと思ったんだけど

「…、幽霊、じゃないよな」

この死ぬほど寒い時期に、割と薄着の女の子がベンチに座ってる

座ってるというか寝てる

いや、これ幽霊？

たしかに憑かれやすい体質とかいわれてるけど

幽霊の登場の仕方ってこんな感じ？

ていうかそのまま寝てたら凍死しない？

あ、幽霊なら死とかないか

とかなんとか冷静に色々考えつつ、溢れ出る好奇心により勝手にベンチに近づく足

もし生きてる人なら心配だし、幽霊なら後で動画のネタにできるし

2mくらい離れた距離から声をかけた

「あのー…、風邪ひきますよ」

いや、そんなの本人が一番わかってるだろ…

そう心の中でツッコミをしつつ返答を待つ

…

…

無視…？いや、起きてない…？

「あの、すみません」

次は体を少し揺らしてみる

触れるから幽霊ではなさそう

…あ、起きた

「…ん、…、

あ、…ごめんなさい…

邪魔でしたか？」

そういって申し訳なさそうにベンチの端に移動する女の子

いやそうじゃないんだけど…

なぜかその隣に座る空気になってるので座ってみる

「…あの、寒くないんですか？」

とりあえず気まずいから話しかけてみた
人見知りなはずだけどなぜかこの時は自分から喋りかけることができた

これ、ナンパって思われんのかな…

「寒いですよ」

正直だな

「…帰んないんですか？」

「どこにですか？」

「え、どこって、家、とか…」

予想外の返しに戸惑う
どこにですかって…なにかワケあり？

「私、家とかないんですよね

だからここで寝てました」