WANTED (ページ22)

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叫んだ瞬間、持っていたナイフを俺目掛けて投げつけた船長。

「ぐっ……！」

それは俺の左腕に突き刺さる。

完全に油断していた。

船長にやられるのが先か、こいつらにやられるのが先か、そんなん賭けや。

結局一人も倒すどころか怪我1つ負わせることも出来なかったのに、左腕の痛みに耐えきれず肩で息をする。

素人がいきなり現場に放り出されまくっても戦力になるわけないねん。

ここで転がってる奴らもそうや。

しかしこいつらは不思議や。

船長が最前線で戦う海賊なんてきっと数える程しかおらんやろう。

……それは仲間を信頼しているからこそ出来る事。

すっかり戦意を失った俺は持っていた剣を地面に放り投げた。

「貴様っ……！」

船長の顔は般若のように恐ろしい顔をしているが、今の俺にはどうでも良い。

しかし待てども待てども船長が切られる気配はない。

暫く沈黙が続いた後、向こうの船長がようやく声を出した。

「リュウセイ、ロープ。」

「あっ、はい。」

そしてあっという間に船長は手も足もぐるぐる巻き。

6人の視線が俺に向けられた。

「これ、もしかしてあのパターン？」

「奇遇やなアキト。俺も今そんな気がしてる。」

「カミちゃん、俺も同じ事思ってるわ。」

アキトという奴が何かを察し、それにカミちゃんという奴が続く。

おまけに唇が特徴的な奴まで頷く。

「あのパターンって何？」

「多分俺らと一緒って事やろ。」

彫りが深い奴は頭にハテナマークを浮かべ、口がデカい奴に助言されている。

助言されても尚、理解してないみたいやけど。

まぁ、俺もこの流れが一体何なんか訳わからんけど。

逃げた方が良いのかどうすれば良いのかわからず、若干オロオロし出した俺に向こうの船長が問いかけて来た。

「んで、君はこれからどうしたいん？」

「俺は……、この海賊団を抜けたいです。」

「抜けてどうするん？」

そう言われても返せる言葉がない。

良い言葉が思い当たらないからだ。

「うち来るか。」

突拍子もないその言葉に目を見開いた。