WANTED (ページ16)

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連れて来られたのはどこかの船。

倉庫らしき場所に雑に放り投げられる俺ら。

ここからどこに連れて行かれるんやろう。

親に捨てられた悲しみと不安でどうにかなりそうやった。

とにかくリュウセイは大丈夫かと隣を見ると、その眼は殺意に満ちていた。

こんなに怒ったリュウセイは多分初めて見たと思う。

それくらい憎しみという感情が溢れていた。

船が出航して暫くすると、男が1人部屋に入って来た。

カピカピに乾いたパンを1つとリンゴを1つ。

そして栓のされた瓶に入った水が1本。

それらを置くと、俺らの口、手、足の縄をほどいた。

「大事な商品だからな、殺しはしない。これは今日の食事だ。仲良く食べろよ。」

そう言うと部屋から出て再び鍵を閉められた。

長時間縛られていたせいでまだ手足に力が入らない。

まだ現実を受け入れられず、呆然と出された食事を見つめる俺。

「シゲ、食べよう。力つけてここから脱出しよう。」

そう言ってまだ痺れている手でパンを半分に割り、俺に持たせてくれた。

震える手で1口かじると、口の中の水分が全部持っていかれる。

水分が持っていかれたはずなのに、俺の目からは水分がとめどなく流れて来る。

「泣いたら水もったいないで。」

ただただ淡々と現実を受け入れている様子のリュウセイ。

そんな姿を見て、あぁリュウセイはこのまま売られる気はないんやって気づいた。

何としてでも脱出して、2人で生きていく。

そう決意したように見えた。

「……そうやな。ごめん、食べるわ。絶対脱出してやろう。」

何としてでもここを出るんや。