五月三十日 ページ20
拠点で夜を明かす事になった俺たち。
怪我人は優先的にベッドに運び込まれた。
暫くは慌ただしかったが、少しすれば段々と落ち着いた。
今日明日はここで過ごす事になるらしい。
敵は拠点を失い、だいぶ戦力を削られたから直ぐに動く事はないだろうという判断だ。
ちょっとはゆっくり出来るみたいで少しだけ安心した。
やからさっきまでの出来事も、書ける時に書いている。
日記も書いたしやる事もなくなった俺は、さっきから黙って一点を見つめたままのしげを見た。
「山川に会いに行こう。」
急に顔を上げて発したしげのその言葉を聞いて、俺たちは拠点までの道中に戻ることに決めた。
「山川……今までありがとう。」
うつ伏せ状態やった体を仰向けに寝かせ、別れを惜しんだ。
こんな戦場で遺体や遺骨を持って帰るなんて不可能やから。
それはオトンも一緒。
最後に顔だけでも見ておこうと思い、皆に事情を説明して堀の中にも行く事になった。
堀の中に降りると、オトンの近くに一人の人物がいた。
各自背中に貼り付けてある所属と名前入りの大きなゼッケン。
それをナイフで切り取っている。
�霤鎮羂咾笋辰拭�
オトンの背中もゼッケンが外されている。
「何してるんですか……？」
恐る恐る聞いてみると、思いもしない言葉が。
「せめて遺品として家族に送ってやろうと思ってな。」
こんなに大勢の兵のゼッケンをたった一人で……。
冷たい人だと思っていた。
その言葉に自然と溢れる涙。
もう動かないオトンを抱きしめて声をあげて泣く俺に、�霤鎮羂咾篭辰い討い拭�
思いっきり泣いて少し落ち着いた俺に、切り取ったオトンのゼッケンを手渡してくれた。
「これはお前が自分で家族に届けろ。」
この言葉を聞いて、生きて帰ろうと心に決めた。
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かんた(プロフ) - #TODAYさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです＾＾ (2021年3月13日 11時) (
レス) id: b73ff05158 (このIDを非表示/違反報告)
#TODAY(プロフ) - 素敵な作品を、ありがとうございました。いつまでも心に残る作品になりました！ (2021年3月13日 7時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かんた | 作成日時：2021年2月2日 15時
