五月二十一日 ページ11
今まで四人部屋だった部屋は俺一人。
同じように召集された奴らも誰もいない。
結局第一海軍から第六海軍まで敵軍に沈没させられ、
流石に勝ち目がないと判断したのか、退却を命じられたらしい。
今は退路の真っ只中。
後二日くらいで駐屯地に着くみたいや。
それまでは待機を命じられてる。
松、竹、梅は無駄死にやったんかな。
あんなに狭いと感じていた四人部屋も、とても広く感じる。
両隣の部屋も空室になって静かや。
誰かと顔を合わせるのは食堂に行った時だけ。
とは言っても他の軍人達とは話すことはない。
だって俺は元々一般人やから。
それに、一人だけ生き残ってしまった奴やから。
何で俺だけ生きてるんやろう。
生きて帰って親孝行しようと思ってたはずやのに。
何でこんなに無力感に襲われてるんやろう。
たった今、桐山さんと中間さんが部屋に来た。
本部からの命令で、第七から第十の召集者は駐屯地に帰還した後、陸軍に配属される事になったらしい。
陸軍が敵に強行突破をしかけ、その隙に後ろから海軍の精鋭部隊で挟み撃ちする作戦になったとのこと。
その為に海軍に派遣されていた召集者は陸軍に集められるそうだ。
次は陸で死ねと言うことか。
話の最後に中間さんが言っていた。
「第七海軍に来てくれてありがとう。俺らには藤井には第七陸軍に配属出来るように頼むことしか出来んかった。」
「あいつらの死は無駄じゃない。海と陸の挟み撃ちで、戦いを終らせよう。……第七陸軍の士官は俺らの同期や。藤井の事も伝えてある。」
桐山さんもそう言っていた。
わざわざ俺を第七陸軍に配属出来るように頼むって事は、相当出来る人なんやろか。
桐山さん、中間さんが直々にそう言うって事は、二人みたいに良い人なんかもしれない。
二人の配慮に心から感謝や。
陸軍では役に立てるように頑張ろう。
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かんた(プロフ) - #TODAYさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです＾＾ (2021年3月13日 11時) (
レス) id: b73ff05158 (このIDを非表示/違反報告)
#TODAY(プロフ) - 素敵な作品を、ありがとうございました。いつまでも心に残る作品になりました！ (2021年3月13日 7時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かんた | 作成日時：2021年2月2日 15時
