五月七日 ページ1
「おめでとうございます！」
赤紙を握りしめ、叫ぶ男の姿が目に焼き付いて離れない。
とうとう来てしまったかと言う少し諦めにも似た思いと、どうして俺なのかという思いが混ざり合う。
薄々感づいてはいた。
家族で呉服屋を営んでいたはずなのに、戦争が長くなるにつれ軍服の受注も無条件で受け付けなければいけなくなったこと。
そしてその受注の数も増えていくばかりなこと。
幼馴染のかっちゃんのお父さんも招集されたまま帰って来ないこと。
俺のオトンも同時期に収集されたまま帰って来ないこと。
近所の三十代から四十代の男達の姿を見なくなってきたこと。
そして遂に俺の世代である二十代までもが招集対象に入ってしまったこと。
全て戦争が招いたことや。
オカンも妹たちも、人前では「おめでとう！」なんて言って拍手してくれた。
やけど顔は全く笑ってなかったし、何なら涙目なん気づいてたで。
でも、そうしないとアカンかったんやんな。
わかってる。
赤紙を持って来た男に「国の為にしっかり戦ってきます」としか言えへんかった。
男が帰った後は店なんて開けてる余裕もなかった。
「何で流星までっ……！」
オカンがあんなに大泣きしてる姿なんて初めて見たと思う。
涙が枯れるくらい皆で泣いた。
口には出せないけど、日記だけは本音を書いてもええよな？
正直、これから俺はどうなるんかめっちゃ怖い。
きっと死ぬんやろうな。
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かんた(プロフ) - #TODAYさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです＾＾ (2021年3月13日 11時) (
レス) id: b73ff05158 (このIDを非表示/違反報告)
#TODAY(プロフ) - 素敵な作品を、ありがとうございました。いつまでも心に残る作品になりました！ (2021年3月13日 7時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かんた | 作成日時：2021年2月2日 15時
