33 ページ33
「タカヒロっ……ううっ……！」
あまりの展開に気持ちが付いていかず、乱暴にゴーグルを取った。
気が付けば、頬を伝う涙。
「ダイキ……なんでっ……。」
タカヒロを失った悲しみと、ダイキに裏切られた絶望。
2つの悲しみが同時に俺を襲う。
再び布団に倒れ込み、うつ伏せ状態のままで思いっきり泣いた。
泣けばスッキリすると思ったから。
ひとしきり泣いた後、気が付けば眠りに落ちていた。
翌日の講義には行く気にならず、珍しくサボってしまった。
しかしノゾムからLINEが鬼のように来るのでしかたなく昼から行く事に決めた。
食堂に行くと、そこにはノゾムとリュウセイの姿。
「神ちゃん顔色めっちゃ悪いで！？大丈夫なん？」
ノゾムが心配してくれる。
「しげは今トイレ行ってんで。」
リュウセイの言葉に少し安緒する自分がいた。
ゲーム内での事だとはわかっていても、今はダイキの顔を見たくない。
自分と皆を裏切った姿が頭の中にこびりついている。
「おお！奇遇やなぁ！」
そう言って後ろから現れたのはアキトたち先輩三人。
せっかくやし一緒に食べようと集まって来る。
「神ちゃん、どないしたん？」
肩を叩かれ振り向くと、そこには微笑むタカヒロの顔。
閉まっていく扉の隙間から見えた時と同じような表情で俺を見ている。
「！！……タカヒロ、生きて……。」
「ん？タカヒロ？(笑) てか俺を勝手に殺すなよー！」
動揺する俺に苦笑いしながら、隣に腰かける。
すると遅れてダイキがやって来た。
のん気な顔で「遅かったなぁ。」なんて声をかけてくるけど、今は顔を見るだけで怒りがこみ上げる。
「ダイキ！……何で裏切ったんや！」
「えっ？裏切った？」
「しらばっくれんなや！」
胸倉を掴むような勢いで詰め寄る俺をダイキに迫ると、ノゾムとリュウセイが慌てて止めに入った。
訳がわからないという顔のダイキは、ジュンタがどこかに連れ出していく。
ダイキがいなくなると、少し冷静になった。
あ、やってしもた。
今はゲームやなくて現実なんやった。
そう気づいた時にはもう遅くて。
「何か今日のモンチおかしいで。今日はもう帰り。」
アキトの心配そうな顔を見て、胸が張り裂けそうになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かんた(プロフ) - ゆさん» こちらこそ、読んでいただきありがとうございました！感想とても嬉しいです！恐縮です＞＜ 新作の構想はもうできてるので、また投稿した際はぜひよろしくお願いいたします！ (2021年1月27日 14時) (
レス) id: b73ff05158 (このIDを非表示/違反報告)
かんた(プロフ) - アップルパイさん» ご丁寧にありがとうございます！感想とても嬉しいです！またボチボチ投稿していきますので、今後ともよろしくお願いいたします！ (2021年1月27日 14時) (レス) id: b73ff05158 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！いつも更新楽しみにしておりました。このあと緑さん自身や彼の人間関係がどうなるのかとても気になりますが、こういうメリバ風味な作品大好きです！作者様の文才にただただ感服です。新作も楽しみにしております^^ (2021年1月26日 17時) (レス) id: c2197c2c66 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ - 完結おめでとうございます!!お話、面白かったです！このお話のおかげ(?)で神ちゃんが狂っていくお話が好きになりました!!まさかの完結でびっくりしたのですが満足でした！(上から目線すみません)もし新作のお話を作られたら絶対見ますね!これからも頑張ってください!!! (2021年1月26日 15時) (レス) id: f1623e6737 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かんた | 作成日時：2020年12月16日 15時
