. ページ41
そして、四十九日。
全員揃って、お義父さんに会いに行けることになりました。
全体の会の前に彼がゆっくり挨拶できるよう、家をかなり早く出ましたが、私たちが会場へいくと、何人かは親戚がすでに到着していました。
そして、彼を見つけると、周りはしんと静かになりました。
後から追いかけるように、ザワザワザワザワ、声が響きます。
「帰ってきたんだ、」
「よく顔出せるな、」
「親不孝者。」
決して好意的とは言えない言葉に、心をグサグサ刺されながら、平静を装って前へ前へ、なんとか歩を進めました。
「何あのギター」
「こんな場にあんなもの持ってくるなんて」
その上、彼は、大きなギターケースを背負っていました。
噂の標的になるのも、無理はありません。
それでも彼は、一言もしゃべらず、一直線にお義父さんのいる場所へ向かいました。
その目には、しっかり祭壇のお義父さんを映していました。
彼は、祭壇の前に着くと、いつもの小さな声で、
「ただいま、」
と呟き、その場に腰を下ろしました。
そして、ギターケースを開けると、おもむろにギターを取り出しました。
「え？」
「おい、なにやってんねん、」
驚く私たちと、キレかかった智洋を無視し、彼は、
歌い始めました。
私たちは、呆然と立ち尽くすことしかできませんでした。
彼の力強い歌声は、ざわざわ広がる噂話の声を制圧し、まるで、私たちの心に直接訴えかけてくるようでした。
素人目にも、彼がレベルアップしたことがわかって、ここ最近の徒労も相まって、涙が溢れました。
ふと気づいて息子たちを見ると、崇裕は涙をこらえきれず、肩を震わせていました。
智洋は、凍ってしまったように固まって、彼を凝視していました。
歌い終わると、彼はギターを片付け、何も言わずにUターンをし、祭壇の前を立ち去りました。
私と崇裕も我に返り、慌てて追いかけようとしましたが、智洋が固まったまま動かないことに気づき、立ち止まりました。
「おい智、いくぞ、」
「智洋？」
私たちの言葉にも反応せず、固まる智洋を置いて、彼はズンズン離れていきます。
彼を一人にするのも不安で、
「崇裕、智洋、お願いして良い？」
「わかった、」
崇裕に智洋を任せ、私は彼の後を追いました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 474人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カミツレ(プロフ) - ぽむさん» ありがとうございます！レコメン大好きなので笑これからも、知ってる人にはわかるネタを少しでも多く織り込めるようにがんばります笑 (2020年1月2日 11時) (
レス) id: 09f1bbf57a (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ - 今日一気に読ませていただいたんですが、めっちゃ面白かったです！レコメンのネタがちょくちょくあって楽しかったです笑笑 (2020年1月2日 0時) (レス) id: f9b9251c57 (このIDを非表示/違反報告)
カミツレ(プロフ) - ゆうがさん» ありがとうございます！これからの方向性が決まったら続編作りますね(^^) (2019年12月2日 11時) (レス) id: 09f1bbf57a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうが(プロフ) - はじめまして。私は、この作品が本当に好きで、もう何回もリピートして読ませていただいています。続編もとても楽しみにしています。これからも頑張ってください！作品楽しみに待っています！ (2019年12月2日 0時) (レス) id: aa407f4b4b (このIDを非表示/違反報告)
カミツレ(プロフ) - 百合さん» ありがとうございます！これからもよろしくおねがいします(^^) (2019年2月25日 8時) (レス) id: c2f175e3b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カミツレ | 作成日時：2018年12月1日 23時
