関西家族物語。

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「じゃあ、流星の卒業を祝して！乾杯！」


「カンパーイ！！」


静かなお店で出せる最大の声で、次男の卒業をお祝いして。




「え！これうま！！」


「ちょっ！声大きい！」


「ふぁから、ぅおれ、ぶぁいとは、あぷぁれるがいいねんか、」


「うん、わかったから、飲み込んでから喋れ？」


旦那と次男に私と長男が突っ込んで、楽しい食事の時間でした。




すべての食事が終わると、店員さんがケーキを運んできました。


淳太も高校生の弟の卒業でケーキなんて粋なことするなぁ、なんて思っていたのですが。


「……え？」


ケーキに書いてあるプレートを見て、言葉を失いました。


多分、30秒くらいはケーキを見つめたまま静止していたと思います。


やっと顔をあげると、してやったり顔の息子たちと、号泣している旦那が目に入りました。


「忘れとったやろ。」




祝・結婚30周年。


ケーキの上のチョコプレートに書いてある文字で、今日が結婚記念日だったということを思い出しました。


「はい、これ、俺からのプレゼント。」


長男からは、私たちが結婚した日のワインをプレゼントされて。それだけでも泣きそうだったのに、


「……これ、俺から。」


最近、決して仲は悪くないものの、親離れをして会話の減っていた次男から、


「……え？」


高校の修学旅行を、つまらん、とキャンセルしたくらい思春期真っ只中の次男から、


「……恥ず。」


まさか、手紙をもらうなんて。


私も、とうとう涙が溢れてしまいました。


ニヤニヤどや顔の長男と、すごく恥ずかしそうに耳を真っ赤にして口許を隠す次男が、はっきり見えませんでした。


「……ありがとう、」


なんとか感謝の言葉を口にして、スッと長男から差し出されたハンカチで涙を拭いて。


手紙を開こうとすると、次男が飛んできて、私の手を全力で押さえつけました。


「本人の前で読むなっ！帰ってから読んで！」


「わかったわかった、痛いから離して。」


力加減馬鹿男の次男。痛かったですが、その行動が面白くて、三人で大笑いしました。


「えーっと？おとんへ。」


「だからっ！読むなっ！」


「ええやんけ別に、俺がもらったんやで？」


「あかん！」


もう、周りの空気のことなんて忘れて、賑やかにしてしまいました。


お店の方、本当にごめんなさい。

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