27 ページ27
「あなたは彼に薬を盛られましたね」
耳の近くで囁くように、彼はしゃべり続ける。
「ですから、この館にある解毒剤を回収し、その後に館を出る必要があるのです」
助けが来たところで一筋縄ではいかないようだ。
これからさらに歩き回るなんて、気が滅入る。
そんなことを思っていると、頭をゆっくりと優しく撫でられた。
「我慢...できますか」
熱のこもった体に、息が吹きかかる感覚に思わず身をよじらせる。
「とはいっても、我慢しない選択肢はないのですが...ね」
その言葉に小さくうなずくと、彼はもう一度にっこりと微笑んで見せた。
「ではいきましょうか」
彼は少し屈み足を支えると、自分をひょいと抱きかえた。
びっくりして、彼の方を見ると、なんとも思っていなさそうに首を傾げた。
「あっあの、お姫様抱っこはちょっと...」
恥ずかしさを感じながら精一杯に言葉を絞り出す。
そんな、あわあわとしている自分を、面白がるような声で彼は言った。
「紳士は、病人に無理をさせないものですよ」
758人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましゅ☆まろ所属。紫月まろ。@完結後転生。(プロフ) - この作品大好きです!無理せずに、頑張ってください! (9月11日 17時) (レス) @page26 id: 8001bcdca9 (このIDを非表示/違反報告)
放浪者の神の目になりたい(プロフ) - 水の国…?フォンテーヌですか…?違ったらすいません!この作品本当に大好きです!これからも更新楽しみにしてます!無理せず更新頑張ってください! (9月10日 21時) (レス) id: 8d6a7142fc (このIDを非表示/違反報告)
えぬ。(プロフ) - コメント失礼します🙇♀️この作品すっごく好きです!幾らでも更新待ってますので自分の好きなことも楽しんで下さい! (9月10日 20時) (レス) @page26 id: e6ae1d0319 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆ - もし自分がこうなったら…って思うと恐怖が込み上げてきて、もう…すごかったです!更新頑張ってください! (9月2日 14時) (レス) @page22 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
あわ! - 好きですこれ!!!最新頑張って下さい! (8月25日 2時) (レス) @page22 id: 72a1163d29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:管理人H | 作成日時:2023年7月25日 3時