ナニかおかしい不審者から逃げる話。

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しばらく緊迫した空気が流れたが、はっとしたように動き出す。

はやく鍵を見つけ出さなければならない。


暗闇になれた目でしっかり周りを見ながら明かりを探す。

壁に沿うように手を動かすとスイッチのようなものがあった。

スイッチを押す。だんだんと部屋が明るくなっていった。


「よし、これで...」


安堵の声を出し、振り返ったその時。

鍵を探し始めようとした手は止まった。

目は驚きのあまり見開いたまま。

震える足を一歩後づさりした。


目線の先にある壁に、大量の写真が飾られている。

全部全部、自分が写ったものだった。


友達と近所の店で遊んだときの写真。

両親の買い物に付き合わされた時の写真。

自室でひとりくつろいでいるときの写真。


腕をさすり、壁に近づく。

見逃すことなく、一枚一枚、確認していく。

どれも合成などでは作れない精密さ。

なんとなく記憶に残っている日常の風景。


でも、自分は知らない。

いつ、だれが、どこで、これを撮ったのか。

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