【antsa】公園で出会った彼は-3-【Sibaken】 (ページ9)

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ー芝健視点ー

芝「………。」

ま「…健？どうした？」

芝「…いや…、なんか…。」

ま「え？」

芝「…Aの様子…変だなって思って…。」

ま「Aが？」

じっ…と無言でツアーでやる振り付けの
練習をしているAを見つめている俺に
まりんが話しかけてきた。

芝「…なんか最近ぼんやりしてること増えたし、
打ち合わせの最中も…上の空っていうか…。」

ま「………。」

そう。

最近のAは、なんだか様子がおかしかった。

ツアーに向けて打ち合わせをしている時も
ぼんやりしているし、ダンスの練習の時も…、
ミスしたりすることが増えた。

寝不足なのか目の下にクマができてることもあるし、
顔色もなんだかいつもより青白い。

それに…少し、やつれた…？

「少し休みなよ」って言っても「大丈夫」の
一点張り。

今は休憩時間だけど彼女は
自主練をしている。

黙々と何も言わず額や頬に滲む汗もそのままで、
まるで何かに取り憑かれたかのように練習を続ける
A。

…なんで休もうとしないの？

明らかに疲れた顔してるのに。

心配な反面、何度言っても休もうとしないAに
少しだけ苛立ちの感情が芽生えた。

芝「…Aー、もうそろそろ休憩しなよ。
ずっとぶっ通しじゃない？」

もう何度目かも分からない言葉をAに
投げかける。

でも彼女は小さく首を横に振った。

「…さっきミスしたところ、復習しなくちゃ。」

芝「それはまた練習再開した時でいいんじゃない？
休憩時間削ってまでやること？」

「でも、本番に失敗したくないし…、
それに、」

"皆に迷惑かけたくないから"

芝「ーーーーー…っ。」

その言葉を聞いた瞬間…、ブチッと何かが
千切れたような音が聞こえた。

芝「…だったら…。」

「……？」

芝「ーーーーだったら、ちゃんと休んでよ！！」

「っ！？」

ビクッ、とAの肩が怯えたように跳ねる。

けど、一度頭に浮かんだ言葉を俺はもう
止めることはできなくなっていた。