すとーんずのshort story (ページ47)

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ふたり_h×？ページ47

『しばらく預かってくれない？』

雨が続いた３日目の夜

飼い主が戻ってくるまで
という半年の期限付きで
猫と同居することになった

犬を飼っているし
猫より犬派だと思っていたけど
一緒にいると全然違う

今日も抱き上げて
腕で抱えながら
背中を撫でる

欲望に負けて片付けるのを忘れたコップが
一昨日のまま置いてあった
絨毯に寝そべりそのコップに触れる

ふたつ寄り添っておかれたコップ
片付けなきゃと思いながら立ち上がる

付き合っている彼が
今日もこの部屋にやってくる
その時は足元にひっついて
一緒にお出迎えをする

『北斗を独り占めしやがって』

と乱暴に撫でても
嫌がりもしない
俺だけでなくふたりに
懐いているのが可愛い

期待もプレッシャーもかけない
言葉の裏を考えなくていい
動物はその安心感を与えてくれる

でも彼といるようになって
彼の言葉の裏はないんだと
思わせてくれるようになった

何回も何回も俺の名をよんで
向き合って座って
抱き合って一緒にいる

それが何気ない日常となった
今が愛おしい
そこに一匹が加わって
さらに彼への愛情が増した気がする

コップに水を入れて
絨毯に彼と座る
猫と触れ合う彼に見惚れる

『北斗、どうした？』

首を傾げて聞いてくる
素直に慣れない俺は
「なんでもないよ」と返して
コップから水を一口のむ

コップを包む手を彼が包む
はっと見上げると
彼の顔が真近に見える

猫は空気を読んだのか
どこかに隠れてしまっていた

『北斗、愛してる』

コップを取り上げると絨毯におく
また片付けるのを忘れるんだろうな
と思いながら、彼の頬にキスをする

「俺も」

この愛しい瞬間が
儚く消えてしまわないように
強く彼のことを抱きしめた