コント_s×h_h Side ページ34
『すごいね、北斗
ほんと楽しみにしてる』
この情報がスケジュールに入った時に
一番最初に声をかけてきたのが
慎太郎だった
「でもめちゃくちゃ緊張してるよ
立ち稽古めちゃくちゃしてる」
コントに立ち稽古もなんだろうけど
何かしないとと思ってしまって
その手段が立ち稽古だった
『じゃあさ、一緒に稽古する？』
思ってもない言葉に
嬉しくなってためらわずこういう
「いいの？じゃあうちにおいでよ」
慎太郎がくる日には
楽しみすぎて念入りに
掃除をしてしまった
我ながらおかしいなと思うけど
慎太郎のフットワークの軽さを
俺はちゃっかり利用している
それに多分慎太郎は気づいていない
「いらっしゃい」
チャイムが鳴り、
玄関まで迎えに行く
今日の本題であるセリフ練習のために
本を渡してみてもらっている間に
飲み物を用意しておく
『こんな台本あるんだね』
真剣に本を見ている
慎太郎の姿を横目で見る
あぁかっこいいな…
その想いが彼にバレないように
あくまでも平然と飲み物を置きながら
ソファの肩が触れる位置に座る
『じゃあどこやる？』
「じゃあこことここかな」
台本を指さすと
慎太郎と目が合う
一瞬ドキッとしたのを隠すように
目を逸らして伝える
「ここ間が納得いかなくてさ」
慎太郎とやってみると
一人でやっていた時と
全然違ってどんどんアイディアが浮かぶ
「ありがとう、なんかイメージできた」
『そう？よかった』
「放送日慎太郎にはみてほしいな」
つい本音が出てしまって
こんだけ付き合ってもらったし
と続けていう
『俺も楽しみにしてる』
と返ってきたことに
にやけてしまう
正直放送見てほしいし
感想も送ってほしい
でもそんなことは言えないから
「今度はお礼に
ご飯作るからまたおいでよ」
と次の約束を作ってみる
その先は今は望まないから
少しでもささやかな
約束を重ねたい
『じゃあいくわ、楽しかった』
玄関まで慎太郎を見送る
扉に手をかけた時に
ふと冗談にできる方法を思いついて
後ろから彼を抱きしめてこういう
『ホントありがとう』
肩がびくっと跳ねる
びっくりしたんだろう
何も気にしていなかの如く
すっと腕を離す
「じゃあ、おやすみ」
振り向かない慎太郎が出ていく
その耳が赤いことに気づく
(もっと意識してくれたらいいよ)
そう思いながら扉を閉めた
ご機嫌取り_ju×t_ju side→←コント_s×h_S Side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
