大切な音_je×t_tside ページ30
今日は新曲の解禁日
すでに一部は映像で流れているけど
ちゃんと流すのは初
こういう解禁日の日は
ジェシーに時間をもらうようにしてる
彼のポジティブさで
エゴサした時のネガティブな反響を
覆せるような気がして
あと一緒に作り上げたものを
一緒に聴きたいという思いもある
でも今日のジェシーは何かが違った
「ジェシーは何を我慢してるの？」
さんざん言葉をもらった後
思ってた疑問をぶつける
『我慢って何のこと？』
声が震えている
多分何かを隠してるんだろう
「何か隠してるように見えるから」
今日はストレートに会話できる日だ
いつもだったらこんなに突っ込んで
話をすることはできない
彼の目が揺らいでいる
これは本音を隠そうとする目だ
「俺は、ジェシーのこと好きだけど？」
思っても見なかった言葉が飛び出す
今まで伝えなきゃと思っていたのに
伝えてしまえばあっけない
多分、ジェシーはなんとも思ってない
それらしいそぶりを見せても
ずっと無視されてきたから
でも、今まで伝えたかった
『大我、それってどういう意味？』
そう真剣な顔で言われて、
血の気が引く思いだった
やりすぎたという思いと
ここでちゃんと伝えなきゃ
という思いが交差する
「どういうって…そのままだけど」
あえて濁して伝える
『俺はさ、こういうことしたいんだけど』
と頬に手を当ててキスをしてくる
思った以上に激しくついばんでくるから
「ちょっと…激しいよ」
と嬉しさもありつつ少し抵抗する
『大我はどう思ってるの？』
そう問われると
もう隠しようがない
「だから、俺もそういう意味で好きだよ」
と言いながらキスを返す
１時をつげるベルが鳴る
夜はまだ始まったばかりだ
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作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
