衣装_y×t_y Side ページ27
『こーち、これかりていい？』
制服を手に取る彼が
答える間もなくき始める
今日は彼が近くで撮影だからと
同じくスタジオで撮影だった
俺に会いにきている
「言う前に着るなよ」
『減るもんじゃないしいいだろ？』
こーちの匂いがする
と言いながら
ブレザーの匂いを嗅ぎ始める
instagram用に撮影をして
もう用は済んだはずなのに
楽屋に居座る彼
ソファで隣に座って出番を待つ
スタッフも楽屋から出て
俺らのことはお構いなしだ
「もうそろそろ脱いだら？
暑いだろ？」
少し秋の気配を
醸し出してきたとは言え
まだ外は暑い
ブレザーは冬用だから
今の時期はまだ着たり
着なかったりを繰り返している
『うーん、まだ着てていい？』
と上目遣いに聞いてくる
その目線が可愛い
彼がどう思っているかは
ちゃんと聞いたことがない
だからこそ可愛いなんて
本人の目の前には言えない
「分かったよ、あと少しだけな」
撮影に向かうほんの数分
なかなか会えないからこそ
貴重な時間だ
叶わなくても
あと少しと望んでしまう
もうそろそろスタンバイです
とスタッフの方から声がかかる
「はーい」
と返答をしながら
立ちあがろうとする
その腕を彼が引き留めた
『今度、また時間ちょうだい』
彼も同じ気持ちだったと知って
胸が高鳴る
「もちろん、今度ね」
と言いながら
顔を近づけてキスをする
(びっくりしたかな
でもちゃんと進めなきゃ)
と決意して撮影に向かった
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作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
