近くて遠い_h×ju_ju Side ページ26
休憩中にDVDの告知動画を取る
今は北斗が撮影をしている
それを横目で見ながら
何をしようか考える
『みんなもうみたー？樹は？』
腕を伸ばせば触れる距離
Instagramのストーリー上で
会話するとかおかしい
最近は疲れていて
北斗との時間を充分に取れていない
あと北斗に会うと甘えてしまいそうで
怖くて少しスキンシップも避けている
「あと、北斗
急に話しかけるのやめてください」
できるだけ真顔で言い放つ
こういうと北斗の琴線にふれるのは
今までの経験でわかっている
でも言い訳がないと甘えられない
スキンシップも理由が必要
我ながらめんどくさいやつだと思う
だから北斗の嫉妬心に甘える
『ねぇ、樹…さっきの冗談？』
ほら、彼が近くにきた
今は2人っきりの時間
スタッフもいない
後ろから腕が回される
久しぶりに感じる彼の体温
熱くて心地いい
でも、もうちょっとだけ煽る
「北斗、急に抱き付かないでください」
肩にあごを乗せると
ピアスごと耳たぶを噛まれる
ここまでは予測してなくて
突然のことに動揺しながら
「なぁに、やめろよ」
ここ楽屋だろ？
と焦ったようにいう
『だって…樹はこういうの嫌？』
「こういうのって…時と場合だろ」
そうはいうけど
ホントはしてほしいし
ここじゃなければ
存分に北斗に愛されたい
『だってあなた、
いつだってそんな感じでしょ』
明らかに拗ねている
声のトーンがワントーン下がる
制御が効かなくなる一歩前
(今日くらい思いっきり
甘えてもいいかな)
北斗の方に振り向く
髪がふれて一瞬のけぞった
その頬を手で包む
目を見ると気持ちが伝わるようだ
言葉にしてほしいんだろう
…わかってるよ
「愛してるに決まってんだろ
言わせるなよ」
と言いながら
顔が赤くなるのを感じる
途端に恥ずかしくなって
手を離そうとする
その手を掴まれて
キスが降ってくる
随分としていなかった
その感触を堪能する
『今日はうちにおいでよ
ちゃんと話したい』
素直にうなづくと
抱きしめられる
(俺ってつくづく
めんどくさいやつだな)
と思いながら
彼の背中に手を回した
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作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
