近くて遠い_h×ju_hside ページ25
休憩中にDVDの告知動画を取る
instagramのストーリー用だから
そこまで長くない
「みんなもうみたー？樹は？」
腕を伸ばせば触れる距離
Instagramのストーリー上で
会話するなんて滑稽だ
撮影の時も疲れていた
そんな時でも癒しより
重いと感じさせてしまうんだろう
仕事以外で誘っても断られる
『あと、北斗
急に話しかけるのやめてください』
平然と真顔で言い放つ
ホントに愛してくれてるのか
不安になってしまう
最近甘えるときと突き放す時の
振り幅がすごくて
近くにいても遠く感じる
突き放す時期にいるのかもしれない
「ねぇ、樹…さっきの冗談？」
茶化しながらさらっと話す
今は2人っきりの時間
スタッフもいないから
後ろから腕を回す
見られたところで
いつものことだとみんな
変な勘ぐりはしないけど一応気を使う
『北斗、急に抱き付かないでください』
さっきの口調で言うもんだから
肩にあごを乗せて
ピアスごと耳たぶを噛む
『なぁに、やめろよ』
ここ楽屋だろ？
と焦ったようにいう
「だって…樹はこういうの嫌？」
『こういうのって…時と場合だろ』
正論でしかないけど
やっぱり本人から求められたい
近くに置いておきたい
「だってあなた、
いつだってそんな感じでしょ」
ホントに好きなのか
愛してくれているのか
わからないよ
という本音は言わない
彼が俺の方に振り向く
口に髪がふれて一瞬のけぞった
その頬をごつごつした手が包む
『愛してるに決まってんだろ
言わせるなよ』
と言いながら顔を赤くして
手を離そうとする
その手を掴んでキスをする
「今日はうちにおいでよ
ちゃんと話したい」
静かにうなづく
彼を抱きしめた
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作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
