束の間の休息_t×s_tSide ページ22
『きょも？おーい』
慎太郎の声が聞こえる
俺にとって愛おしい時間だ
台本やいろんなことが頭にあって
うまく話せないから
『おーい』
だから慎太郎の優しさに甘える
台本を見ながらあごに手を当てて
考え込んでいるフリをする
その時ミルクティーの匂いが
鼻をくすぐる
隣に慎太郎が座る
「うわ、びっくりした」
驚いたフリをする
『えー、さっきから声かけてだんだけど』
と拗ねながらいう
その表情も可愛い
年を重ねて身長も高くなって
体格も良くなって
どんどんカッコ良くなっても
俺の中では可愛いままだ
はいといつものミルクティー
台本をおいて
そのカップを受け取りひと口のむ
自分で入れると物足りないのに
慎太郎が入れると絶妙な甘さで
つい顔がほころぶ
「なに見てんの？恥ずかしいんだけど」
いつもの光景なのに
今日は見られているのが恥ずかしい
『今日のミルクティーの出来について
感想聞いてないなぁって』
「そりゃうまいよ」
と言いながらふふっと笑う
たまにどちらが年上か
わからなくなるくらい
先回りしてくれる
『撮影どう？順調？』
「まぁ、順調？かな」
「頼りないかもしれないけど
言ってもいいんだからね」
ほら３ヶ月やった先輩だし？
と茶化してくれる
ほら、不安をわかってくれてる
だからこそ心を込めて
ありがとうと伝える
ふとこの距離がもどかしくなって
頭を引き寄せて肩に寄せる
ぽんぽんと頭を優しくたたく
「言ってはないけど頼りにはしてるよ
こうやってミルクティーいれてくれるし」
『ミルクティーだけ？』
そういうと頭を
肩に擦り寄せてくる
俺だけに甘えてほしい
聞き分けのいい子じゃなくていい
わがままを言ってくれていい
どんなことでもできることなら応えたい
「今日はこれでおしまいにするから
ここから先は慎太郎との時間ね」
慎太郎に甘えてほしい
何しようか？といいながら
反応が見たくて顔をのぞきこむ
明らかに言いたくて
でも迷ってる姿が目に映る
どうしても言わせたくて
「じゃあ、慎太郎が
言ったことだけしようかな」
と言葉を重ねる
戸惑っている姿も可愛くて
じっと見つめてしまう
『きょもが俺に
今したいことをしてほしい』
消え入りそうな声でいうから
欲望に任せてキスをする
くちびるが離れると
寂しそうな顔をする
つい意地悪をしたくなってしまう
「他にはないの？」
見つめ合う時間も心地よい
(もっと甘え上手になってもらおう)
と思いながら返答を待った
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作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
