束の間の休息_t×s_S Side ページ21
「きょも？おーい」
俺は撮影が終わったが
彼の撮影に入り
すれ違いが続いている
たまにぼーっとして
話しかけても全く返答がない
といったこともある
「おーい」
台本を見ながら
あごに手を当てて
考え込んでいる
今日は久しぶりに
午後がお休みらしいと聞いて誘った
ちょっとでも休んでほしいと
ちょっとでも会いたいの
狭間で会いたい方を選んだ
でもずっと上の空だったから
理由をつけて少し離れていた
(でも、１時間もあれだからな)
飲み物を用意して隣に座る
『うわ、びっくりした』
話しかけたのに
気づいてなかった様子で
あからさまにびっくりする
「えー、さっきから声かけてだんだけど」
はいと少し甘めの
ミルクティーを差し出す
『ん、ありがと』
と言って台本を置いて
カップを両手で持って
ひと口飲む
ささいな仕草ひとつひとつが
綺麗で美しい
『なに見てんの？恥ずかしいんだけど』
気づかないうちに
見惚れていたらしい
「今日のミルクティーの出来について
感想聞いてないなぁって」
とごまかす
『そりゃうまいよ』
と言いながらふふっと笑う
目を落とした机の上には台本があって
これトマトでさぁ、こんなこだわりが…と
ひとしきり話した後に
どっちが年上かわからないね
と笑ったのを思い出した
「撮影どう？順調？」
『まぁ、順調？かな』
そういう時は不安が勝ってる時
「頼りないかもしれないけど
言ってもいいんだからね」
ほら３ヶ月やった先輩だし？
と茶化すとありがとう
と言ってくれる
笑ってるから
多分大丈夫なんだろう
ふと頭を引き寄せられて
肩に寄せられる
ぽんぽんと頭を優しくたたく
その手が心地よい
『言ってはないけど頼りにはしてるよ
こうやってミルクティーいれてくれるし』
「ミルクティーだけ？」
そういう意味でない
と分かっていながら
はぐらかして会話する
もっと会いたい
構ってほしい
甘えたい
頭を撫でられながら隣にいると自覚する
思った以上に我慢していたことに
少し恥ずかしくなって
頭を彼の肩に擦り寄せる
『今日はこれでおしまいにするから
ここから先は慎太郎との時間ね』
何しようか？と
いたずらっ子のような顔で
顔を覗き込んでくる
したいことはいっぱいある
でもただこうして隣にいる時間も
幸せすぎて答えられない
『じゃあ、慎太郎が
言ったことだけしようかな』
焦れた彼がそういう
いろいろ考えた中で
一番最初に浮かんだ言葉を伝えた
束の間の休息_t×s_tSide→←甘えたい合図_y×ju_ju Side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
