甘えたい合図_y×ju_ju Side ページ20
『もしかしてさ、
こーちと最近なんかあった？』
ジェシーからの一言に
少し驚きはしたが
嘘が上手い俺は平然と
「いや、なんもないけど
気になることあった？」
『それなら勘違いかな』
と言いながら
メンバーの元に歩いていく
こーちとの関係は秘密にしている
言ったらたがが外れそうで怖かったから
ただ言ってしまえば
不安は無くなるのかもしれない
今日はコメンタリーの収録で
少し疲れが出ていた
あいかわらずジェシーとの
スキンシップになされるがままで
目線も隣にいるのに
こちらにはあまり向かない
なにもないのは分かってても
目線の先が気になって
ちらちら見てしまう
鈍感な彼はそれに気づかないから
ちょっとだけ甘えたくて
かすった手を掴んで繋ぐ
でもしっかりとは握り返してこない
(ちょっとくらいいいか)
きょもともやっているし
手を繋ぐくらい
それをアピールするくらい
なんの問題もないと分かっている
それは俺にとっては
カモフラージュ
だからカメラに向かってみせる
言わないけど彼は俺のものだ
ジェシーがこーちに
話しかけているのを
横目に帰り支度をする
ご飯の誘いを断って
でもしつこくジェシーから
誘われているから
別の予定を決めたみたいだ
俺たちはありがたいことに忙しい
近くにいるのに2人で
会える日も少ない
それに俺にも余裕はない
疲れていると不安になる
大丈夫だと言い聞かせても
近くにいると気になってしまう
他の予定を断って
俺を優先しろなんて
そんなこと女々しいこと言えないから
彼より先に部屋をでる
頭を少し冷やしたくて
遠回りをする
メッセージが来ていることは
少し前から気づいていた
でもこんな感情ぶつけられなくて
ちょっとだけ放置する
せっかくの時間を
八つ当たりで終えたくない
ぱっと見えた画面に
通知がすべり込む
"ご飯作ったから迎えにいく
何か気づかなかったなら教えて
ちゃんと樹のこと知りたいから"
八つ当たりになっても
ちゃんと話そう
と決めて、〇〇にいると送る
数分後、息を切らして
目の前に現れて
手を差し出す彼
『一緒にご飯食べよ、
話ちゃんと聞くから』
手を取りながら歩く
たわいもない会話
いつでも笑顔でいて
笑顔にしてくれる
そんな彼が好きだから
「ごめん、ジェシーに嫉妬した」
と暴露する
『えーそんなことあった？』
ごめんと言いながら
おろおろしてる姿にくすっと笑う
部屋について彼を引き寄せて
キスをする
愛する彼と大切な時間を過ごそう
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作者名：かのん | 作成日時：2022年9月17日 22時
