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「スー…ハー…スー…ハー……落ち着け…大丈夫、大丈夫。」
意味のない深呼吸を繰り返してからはや、5分。今は今日の握手会、会場の目の前にずっといるため、通りかかる人にはどうしても変な目で見られてしまう。
「よし…大丈夫…!!」
勇気か何かを振り絞り会場に足を踏み入れた。中に入ると、結構人がいてザワザワしている。生憎、私は友達等と来ていないため、スマホを取りだし画面を鏡にして顔の確認をし始めた。
「うん、厚化粧じゃないし大丈夫…!!」
本日何度目かも分からない、大丈夫を連呼しスマホのイヤホンジャックにイヤホンを指して曲を聞いた。
二回くらいリピートしたくらいで時間を見るとちょうどいい頃合いだったのでスマホちゃんをバッグにしまい、深呼吸をもう一度してから、ドアを開けた。
「ヤバい…人多い。待って、ここにうらたん来るんだよね…?」
会場を目の前にし、興奮が押さえきれずキョロキョロと回りを観察してしまい、またもや回りから変な目で見られてしまった。
別に変な目で見られても私は悪いことをしてないし、握手会に来ただけだし、ほら悪いことなんてなんもしてない!!と、開き直っていると、本日お目当ての張本人がこの場に来た。
「うぉ…生うらたん…カッコいい…」
列の最後尾からうらたんをもう一度でも見ようとジャンプをしていると、目があってしまった。
「うぁ…っ」
それも、笑顔付きで。マスクはまだしていたけれど笑ってくれたのは分かった。せっかく深呼吸して、落ち着きを押さえたのにまた落ち着けなくなってしまうが、今はそれより心臓の方が限界だった。
「あ、始まった。」
気がつくと握手会が始まっていた。
*
「あ、はーい」
最後の人と呼ばれて、握手をする為に本人の前に行く。…また目があってしまった。
「あ、君後ろの方からジャンプしてた子…」
「えっ!?…はい、そうです…すいません…」
うらたんに覚えていてもらったのは嬉しかったけど、その前に覚えさせてしまう様な行動をしたことに申し訳なく思う。
「あはは、いいよ。…そうだ…!はい手、出して」
笑ってくれたので、どちらにしろ結果オーライってことにしておいた。…そうだ。この会場は雑談の会じゃなくて、握手会ということを思いだし手を出した。
「ふふふ…これからも応援よろしくお願いします」
「全力で応援させて頂きます」
これにて、私のお話はお仕舞い。この後は、また今度
〜END〜
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作者名：音音 | 作成日時：2018年10月21日 5時
