君が好き。 Shori_Sato (ページ31)

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君が好き 31 ページ31

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佐藤くんを連れ部屋に戻り

ひとりにした方がいいのかなと思ってドアを閉めた。

部屋の奥からすすり泣く声が聞こえた。

佐藤くんのことを包み込んであげられたら。
そんな自己満足に蓋をしてリビングに向かう。

「ねえお母さん。さっきの本気？」

キッチンで野菜を切るお母さんに尋ねる。

「ええ。子供ひとり増えてもなにも変わらないわ」

「そうじゃなくて！！
佐藤くん、ホントのお母さんと暮らせないんだよ？」

「分かってるわよ…！
私だってこれで良いなんて思ってなんかいない。
でも彼を1人にすることだってできなかったのよ…」

お母さんのお母さん、いわゆる私のおばあちゃんはシングルマザーだったから

母親の苦労とか痛いほどわかるんだっていつか言ってた。

「私は佐藤さんを信じるわ。いつか迎えに来るって。」

そう言ってお母さんはもう一度野菜を切り始めた。

昼ごはんを食べ終わったころ、

聡とマリがDVDを観よーと家にやってきた。

佐藤くんのことを簡潔に話すと

2人は変に慰めに行こうとしたりせず、ただ頷いた。

DVDを見終わり、聡マリが帰る。

佐藤くんの様子を見に行こうと、
ドアをノックしたけど返事がない。

「佐藤くんー？入るよ？」

私はそおっとドアを開けた。

すると佐藤くんがいない。

病み上がりの体で…

私は急いで靴を履いて家を飛び出した。