師範から離れたくない 【時透無一郎】

致命傷 ページ25

｢胡蝶さん！！！Aは！？｣




｢時透くん、こちらです！｣


Aが致命傷を負ったって聞いた



あれほど、無傷で帰ってこいって言ったのに



傷の一つや二つならまだしも、致命傷？


煉獄さんがいながら、なぜAが致命傷を負ったのか、理解出来なかった。



弱いわけじゃない



上弦の参と戦ったとは聞いた


だけど…………なぜAが？


おかしい。おかしすぎる。


なんで。


どうしてだよ。



｢Aさんの常中の精度が高くてよかったです。止血も出来ていたので、致死量は逃れていました。


しかし………稀血である上に13歳。まだまだ子供です。


血液の残りが、無くなるのも時間の問題です。｣



｢死なないよね？A、死んだりしないよね？｣



｢今はどうにか意識を保っていますが、非常に危うい状況です。


時透くん、どうか傍にいてあげてください。
声をかけ続けてあげてください。｣



｢わかりました…｣



｢私は今から不死川さんに、輸血のお願いをしに行って来ますので、少し離れますが少しでも容態が変わったら鴉を飛ばしてください｣


｢はい。｣



不死川さん


いとこが危険なんだよ？


絶対断ったりなんてしないでよね



僕の大切な継子であり、不死川さんの大切ないとこなんでしょ？？


死なせちゃダメだよ。絶対に。


死なせていい人じゃない。Aは。




絶対にダメだ。殺しちゃ。



良いわけない。



｢頼むから目を明けて。

なんでだよ…、僕との約束、破ったこと1回もなかったのにさ。
今回だけどうして破るかな……。



早く目を覚まして、早く一緒に鍛錬しようよ。


ねぇ、一緒に食事処にも行ってないよ？いいの？連れて行くって約束したんだから、行こうよ。


甘露寺さんに教えてもらった甘味処もまだ行けてないのにさぁ。




僕と離れたくないんじゃないの？？





自分から離れていくようなことしないでよ。｣




頼む



なんで目を覚まさないんだよ。




早く目を覚まして



Aがいない屋敷は広くてね



1人で暮らすには広すぎるんだよね


だからさ、早く帰ってきて一緒に暮らそうよ


またふろふき大根作ってよ。


君の手料理が食べたいよ。




僕を置いていくなんて許さないから。

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