夜の野営地.2 ページ10
いつの間にかあっちこっちにと引っ張られてAも目が白黒とする。目が回るようだったが、手首を掴む熱いぬくもりが帰る場所を教えてくれた。
信 「わりーな。Aはこっちだ」
A「…信!!」
手を引いて何も言わずに、自分の天幕に連れて行く。
彼女を取られ、複雑そうな顔をした二人だが、松左はヒューっと口笛を吹いて茶化した。
松左 「いいとこ持ってかれたよ、色男に」
崇原 「…姫様(なんて魅惑的な香りなんだ…)」
⭐⭐
羞恥を乗り越えて、やっと自分の天幕に想い人を連れてきた信だか、そこには残念ながら先客がいた。
蒙恬 「よぉっー!やっと来たか、信」
信 「蒙恬ッ!?!」
蒙恬 「…俺の目が黒い内は、
抜け駆けなんてさせないよ」
信 「…クソッ(せっかく二人きりに
なれると思ったのに!!)」
A「…もう、げんかい。
二人とも、早くねよう?」
そう言ってドサッと倒れると、無防備なまでに二人の着物を裾を引っ張った。
年頃の男二人に囲まれても、なんとも思ってないAに、頭を悩ませる蒙恬と心臓が爆発しそうでそれどころではない信。
数刻もしない内に、穏やかな寝息が聞こえてきた時には、思わず二人して顔を合わせた。
蒙恬 「…はぁ。
俺たちが男って意識してないのかな?」
信 「これがAだろ。
こうやって…隣にいるだけで俺は、幸せだ」
そう言って横になる信に、何も言えなくなる。
静かに蒙恬も寝台に横になり、
寝ている彼女の横顔を見つめた。
すると、自然と反対側から同じように彼女を見ている信と目がある。
信 「……変なことするなよ」
蒙恬 「……お前もな」
A「………zzz」
幸せそうに眠るAは、本当に可愛い。
変な気持ちにならないよう、
お互いに牽制し合いながら眠りについた。
⭐⭐
朝。
ふと自分に左右からのしかかる重さに、
眉が八の字になる。
A「ん…おもい…」
まだぼんやりとした意識の中で、目をぱちぱちと覚醒させると顔の近くにクリーム色の茶色の髪の毛と、お腹周りに黒髪がふさふさと見えた。
だんだん意識が追いついてくる。
はっ…と息を飲むと、自分の顔の真横に蒙恬が居て、お腹に抱きついているのが信だと分かった。
二人とも寝息を立てて寝ているみたいだが、時々自分の名前を呼ぶのでびっくりしてピクリと動いてしまう。
A「…そういえば、
竜有と朝ごはん一緒に作る約束してたんだ」
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ありす - この作品おもしろくて、大好きで、一気読みしてしまいました、、。こんな最高な作品を作ってくれてありがとうございます!! (2月13日 22時) (レス) id: a49b00a8c0 (このIDを非表示/違反報告)
さや - 最高におもしろかったです!!素敵な年末をありがとうございました!! (12月27日 19時) (レス) id: 190fd29e8b (このIDを非表示/違反報告)
ナタデココ(プロフ) - 現在深夜4時🥺♡面白くてずっと読んでました♡続き楽しみにしております🙇♀️😊 (10月21日 6時) (レス) @page8 id: bb115dbd7a (このIDを非表示/違反報告)
かもる(プロフ) - このシリーズがとても好きです。お身体に差し障りがなければ続きが読みたいです。 (2022年5月31日 0時) (レス) id: 71b936d7a8 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - 続き気になる 合従軍編のシーン作って欲しいです (2021年11月29日 22時) (レス) @page10 id: 1b00569172 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年11月11日 16時