月下美人の君.8

Girl On Fire ページ8

どんな自分でも優しく、包み込むように受けれて入れる飛信隊の人達。羌瘣が彼らを帰る場所と言っていた理由が分かった気がする。

悲しみに耐えている時に、

少しでも優しくされるとまた涙が溢れてくる。


A「……みんなっ」


…隊長なんだから、泣いてばかりじゃいられない。


溜まっていた想いを全て詰め込んで、

息を吐き出した…。


そして、

髪をすべてまとめて一つにした。


長い髪を束ねたAの顔は、

覚悟を決めた女の表情だった。



A「…瘣はここでゆっくり休んで。



信のことは…

必ず生きて、連れて帰ってくるから」




頼りになる言葉と、

その微笑みだけで、男を殺しそうな笑顔に

なぜかドクンっ…と羌瘣の胸を打つ。



一つに結ばれた黒髪は、

彼女の決意を一つに束ねたかのようで、





芯がある美しさが、とても綺麗だと思った。


その命の輝きに…


彼女が通り過ぎれば 誰もが目で追ってしまう。



A「必ず……っ！」



もう誰も奪わせない。


私は


最後まで戦う……！


そう胸に誓い、胡蝶隊と共に本陣へ向かった。




⭐⭐

蒙驁本陣では、その頃
信が廉頗の本気の一撃を受け止め…
魏国、秦国兵が入り乱れて乱戦状態になっていた。



A「…ッ…あと少しで本陣っ…！」


頂上に駆け上がった時、
魏本陣が落ちた狼煙が上がった。


A「…ッ！！(垣騎将軍…！？)」


それは、垣騎の仕業であると
瞬時に気づいた。

…だが、こうなると蒙驁将軍が危ない！


女の身であるAは、
周りの男たちより身軽な分、馬を速く走らせた。


視線の先に、
同じように爆進していた隊が先に混戦に乱入する。


⭐⭐

介子坊 「者共殺れェいーッ！

さっさと蒙驁を討ち取って、
戦局を五分に持ち込むぞォッ！！」


介子坊の一振りに何人者の男たちが、
一瞬にして切り刻まれた。

その勢いを誰も止めることが出来ない。


そこに、蒙恬が馬に乗って立ち塞がる。


蒙恬 「……(よくて相打ちか…)」


だが、本当に手に負えない敵が
まだ一人残っている。

この絶対絶命の状況で…


例え自分の命を落としても、
なんとかじーちゃんだけは……！と

蒙恬が馬の手綱を握り直す。

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