刻露清秀 ページ43
昌文君の叫びをいい事に、先生の腕の中から逃げ出して脱ぎ捨てなられた着物を拾いながら出口まで走る。
A「先生っ!大王様がお呼びなので
一度し、失礼しますっ!!」
昌平君 「……A」
名前を呼ばれて振り向くと
ふぅーと煙管を吹かせていた。
昌平君 「俺は…いつでも待ってるぞ」
その言葉に、羞恥が頂点に達した。
脱兎のように扉にぶつかり、転びながら、必死にその部屋から逃げ出した。
A「痛ぁっ!…っててっ、また来ます」
タンコブを作りながらも、逃げていくが、
律儀に挨拶はかかなさいAに、昌平君はクスッと笑ってしまった。
昌平君 「…また、来ますか」
ふぅーと吐いた息は、真っ白に揺れた。
⭐⭐
昌文君 「おおっー!ここにいたか!A!
この際、説教はあと回しじゃ!
早く儂とともに大王様の所へ行くぞ!」
そう言って連れてこられた場所は、咸陽の街中が一望できる高台だった。
風に髪を靡かせながら、黄昏ている政の背中は成長して大きくなっているように感じた。
跪き新しく使える主君に、頭を下げる。
A「…政」
でもきっと…
呼び捨てにしないと怒るんだろなぁ…と
分かっているからこそ曖昧な関係だった。
振り向いた政は、今まだにないほど瞳を輝かせ
嬉しそうに頬を赤く染めた。
政 「Aか…。よくぞ無事に戻った。
頭を上げてくれ…」
A「…はい」
先ほどの論考行賞とはまた別に、
安心した二人の優しい瞳の色が溶け合いそうだった。
政の手を借りて立ち上がっても、彼はAの手を離そうとしなかった。
A「政…わたし…」
Aが言葉を発しようとした瞬間、
違う方向から横槍が入る。
信 「二人ともー!おつかれさんっ!」
昌文君 「こらァッ!信よ!
貴様、もう少し空気を読まんか!!」
信 「ああ?何言ってんだ、おっさん。
空気は読むもんじゃなくて、吸うもんだぞ…」
その回答に、Aがお腹をかかえて笑い出す。
A「ぷっはははっ!
さすが、信っ!論考行賞の時の姿も、
笑っちゃいけないんだけど……ぷぷっ、
おかしくってー!お腹いたいーー!」
政 「ああ…仕方ないだろう。
普段のお前を知るものなら、
笑わずにいられるか!」
信 「うせっ!こっちだって
今さらお前とあんな事!
てか、Aも笑いすぎだぞ、コラッ!」
A「ごめんね!…ぷはは」
それでも抑えきれないというように、
三人で腹から笑い合った。
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イルカ - とっても面白いです!!続きが気になって気になって… 更新、楽しみにしてます! (2020年11月11日 16時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - のだめさん» のだめさん。リクエストありがとうございます!明るいシリーズ書きたかったので早速書いてみますね! (2020年11月3日 22時) (レス) id: 32e2b69621 (このIDを非表示/違反報告)
のだめ - このシリーズの4?くらいで、もしも結婚したら的な小話あったじゃないですか、、リクエストで、呉鳳明と項翼、白麗の3人も見てみたいです (2020年11月3日 21時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 鮮花さん» リクエストありがとうございます!こっちか、外伝の方に書いてみますね! (2020年10月24日 19時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
鮮花 - リクエストで、番外編で昌平君との話を見てみたいです。「甘めで (2020年10月23日 20時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年10月6日 22時