運否天賦.3 ページ35
大王様に抱きしめられるなど驚異の光景だが、有力な文官や武官はそれどころではなかった。あの呂不韋を出し抜いた娘…という事で、皆信じられぬ先ほどの光景についてザワザワと騒いでいた。
蒙恬 「…なんか大王様と距離近くない？」
信 「くそ！…政のやつ抜け駆けしやがって…」
蒙恬 「嫌な予感…(もしかして、
大王様も…Aのことを？！)」
ドンドン輝きが増していってしまう彼女が、
遠く離れてしまうようで…
蒙恬の心中は寂しさで溢れた。
蒙恬 「…いや、俺が追いつけばいいんだ」
泣いて笑って、いつでも素直で優しい彼女を誰よりも知って、支えてるのは自分だという自信がある。
早くこの式典が終わって、無茶ばかりする彼女を叱りながら「よくやった」と抱きしめてあげたい。
表情が明らかに変わった蒙恬に、隣の信も目を開く。本当に無茶ばかりする。…ついには政の宿敵である、あの呂不韋にすら臆せず、立ち向かって勝ってしまったのだから、彼女には本当に叶わないと思った信。
彼女に想いを寄せる男は多いが、戦も終わりひと段落した頃には、この想いを伝えようと思う。
信 「絶対追い抜いてやるから待ってろよ。
…A」
追いついて、追い抜いて、いつかお前を妻に迎えるのにふさわしい男になってやる。
⭐⭐
呂不韋の発言で、突如巻き起こった嵐は両者が勝者という形で収まった。だが、その内容に腹心の李斯は納得がいかず、思わず怒鳴り声を上げた。
李斯 「…なぜこのような馬鹿な真似を！
丞相様の物となれば、欲しい物も称号も全て
意のままに手に入れる事ができたというのに…」
そう、女王として陣営に君臨する事もできた筈…。
しかし、Aは政の優しく包み込んでくれる腕から抜け出して李斯や…呂不韋に改めて向き合った。
その品があるしなやかな動きは、本当に美しいが…
その瞳に燃え滾る炎には、きっと誰も
敵わないと思った。
A「…確かに馬鹿げた話かもしれませんが…
自分の部下一人見捨てるようじゃ、
戦場で隊長張ってられないんですよ！
それと、呂丞相…
朱一族の女舐めたら
火傷しますよ……？」
あの李斯でさえその言葉に
圧倒されて何も言えなかった。
恐ろしいほど美しく微笑みながら、
去るその背中に
若くも女帝として、
男を統べる貫禄の片鱗を魅せた。
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イルカ - とっても面白いです！！続きが気になって気になって… 更新、楽しみにしてます！ (2020年11月11日 16時) (
レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - のだめさん» のだめさん。リクエストありがとうございます！明るいシリーズ書きたかったので早速書いてみますね！ (2020年11月3日 22時) (レス) id: 32e2b69621 (このIDを非表示/違反報告)
のだめ - このシリーズの４？くらいで、もしも結婚したら的な小話あったじゃないですか、、リクエストで、呉鳳明と項翼、白麗の3人も見てみたいです (2020年11月3日 21時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 鮮花さん» リクエストありがとうございます！こっちか、外伝の方に書いてみますね！ (2020年10月24日 19時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
鮮花 - リクエストで、番外編で昌平君との話を見てみたいです。「甘めで (2020年10月23日 20時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：09kokoa | 作成日時：2020年10月6日 22時
