柳緑花紅.8 ページ29
歯を噛み締め、拳を強く握る政の掌に優しく触れる。ビクッと驚く彼に、Aは「貴方のそばを離れる気はない」と…精一杯の気持ちを微笑みに込めた。
そして、相対する丞相へと向き合う。
A「呂丞相。
私ごときにお声をかけて頂き、
もったいないお言葉です。
ですが……
私は呂氏四柱に入る気はありません!」
李斯 「なっ?!小娘が!なんと無礼なことを!
丞相自らが、
公の場で声をかけているというのに…!」
蔡沢 「…ヒョッヒョッ…
(気持ち良いくらいハッキリと断ったのォ…)」
蒙武 「………茶番だ」
昌平君 「………ハァ…(頼むから、これ以上騒ぎを大きくしないでくれ。お前との婚儀が遠のくばかり…)」
現在の呂氏四柱のメンバーも注目し始める。
だが、その誰よりも
その答えを待ち
楽しげに笑うのはこの男だけだった。
呂不韋 「よかろう。
ならば、見逃そうと思っておった
A一族について、
今一度胡蝶隊を
あらため直さねばならないのぉ…。
偽りを申した者は、その場で処分する!」
A「ッ……!!(卑怯な…!)」
一族や胡蝶隊を人質に取られたらなす術もない。彼らはAにとって最も大切な一つなのだから。
信と蒙恬達と同じように、後ろでAを見守っていた胡蝶隊の兵士達が立ち上り、周りを威圧する。隊長に手を出せば…こちらもタダではすまさないと言った態度だ。
それ対抗するように、呂不韋陣営の男達も負けじと立ち上がる。その数の多さに圧倒的にこちらが不利だった…。だが、胡蝶隊の兵士達の殺気でいつのまに一発触発の事態にまでなってしまった。
大切な仲間達を傷つける訳にもいかず、
どうしようもなく俯くA。
愛する彼女の苦痛な表情を、
一番近くで見ていて
胸が苦しむ政。
このまま宿敵である呂不韋の手に、
落ちてしまうのか…。
想い合う若い二人の仲を引き裂く事に、
心中でニヤリ…と細く微笑み、
ついにトドメの一撃を浴びせる。
呂不韋「…Aよ。お前の口から申せ。
どちらの陣営に行きたいか……」
目の前で愛しい女が、他の男を求める…。
悲しみに打ちひしがれる大王など実物だ。
さぁ……早く
ワシのモノになれ…。
⭐⭐
A「わたしは………」
仲間の命を突きつけられた絶望的な状況で、
ふと…
魂に刻まれた言葉を思い出す。
ーーーーーーーーー
柳緑花紅:人が手を加えていない自然のままの美しさのこと
95人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イルカ - とっても面白いです!!続きが気になって気になって… 更新、楽しみにしてます! (2020年11月11日 16時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - のだめさん» のだめさん。リクエストありがとうございます!明るいシリーズ書きたかったので早速書いてみますね! (2020年11月3日 22時) (レス) id: 32e2b69621 (このIDを非表示/違反報告)
のだめ - このシリーズの4?くらいで、もしも結婚したら的な小話あったじゃないですか、、リクエストで、呉鳳明と項翼、白麗の3人も見てみたいです (2020年11月3日 21時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 鮮花さん» リクエストありがとうございます!こっちか、外伝の方に書いてみますね! (2020年10月24日 19時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
鮮花 - リクエストで、番外編で昌平君との話を見てみたいです。「甘めで (2020年10月23日 20時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:09kokoa | 作成日時:2020年10月6日 22時