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柳緑花紅.4 ページ25

仮面をつけているとはいえ、思ったよりも小柄な姿に周りの文官達はザワザワと騒ぎ出す。

こちらを優しく見つめてくれる政の存在だけが、
救いだった。

A「(…政)」

政 「(…A)」

あと少しで彼の元まで辿り着けると思った時…
その男がついに口を開いた。

呂不韋 「…大王様から直々に
授与されるというのに、仮面を着けたままとは、
ちと無礼ではないか?」

ご自慢のヒゲを撫でながら、
言葉とは裏腹に楽しそうに呟く。

本来ならば特に問題ない為、昌平君が口を開こうとした瞬間、遮るように呂不韋がそれを止める。
呂氏四柱の彼に反論できる術はなく、グッと音が出るように歯を噛み締める。


A「……(この男が、呂不韋…)」


これまでで一番近く、その顔を見る事が出来た。
自らの立身出世の為に、弱い者や女達を踏みつけて
登り詰めた男…。

本当に、
この男が一族を死に追いやったのだろうか。

もしそうなら…理由(ワケ)を知りたい。

なぜ、父と母が死ななければなかったのか。

なぜ、祖父から最愛の人を奪ったのか。


失ってしまった大切な人達を思うと…

これまで抑えてきた殺気が爆発する。


仮面から見つめる鋭い瞳がゆらり…と揺れた。

見つめられた呂不韋の側近達は、
その殺気に震え上がる。


数秒のやり取りなのに、誰も口を開けず
固唾を飲んで見守るしか出来ない。


重苦しい空気を壊すように、Aが
仮面を外すと、髪が風に凪いだ…。




仮面の下から現れた

見た事もないよう美しさに

諸侯の有力者達は、皆目を奪われる。

先ほどの水を打ったような静けさと、
打って変わって王宮が騒がしくなった。


呂不韋 「……ほう」


昌平君 「第三功 胡蝶隊のAには、

爵位三階級昇級、金五百に宝物五点。

そして…五千人将軍へと昇格するものとする!」


A「えっ…!」

蒙恬 「…ごっ…!!!」

信 「五千人将ーーーッ??!!」


その昇格には、さすがにA自身も驚いたが、
蒙恬や信同様、その場にいたほとんどの者が異例の発表に口をあんぐりあけて驚愕した。


文官「…女に五千人将が務まるのか?!」


文官 「千人将からいきなり五千人将は、

いくらなんでも…!」


昌平君 「胡蝶隊千人将
Aの昇格について…

異例ではあるが正当な理由がある。

今回、山陽の戦いで結んだ廉頗との

和睦の一文にこう記してある」


そう言って昌平君が、何やら読み上げる姿に
一同が注目した。

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イルカ - とっても面白いです!!続きが気になって気になって… 更新、楽しみにしてます! (2020年11月11日 16時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - のだめさん» のだめさん。リクエストありがとうございます!明るいシリーズ書きたかったので早速書いてみますね! (2020年11月3日 22時) (レス) id: 32e2b69621 (このIDを非表示/違反報告)
のだめ - このシリーズの4?くらいで、もしも結婚したら的な小話あったじゃないですか、、リクエストで、呉鳳明と項翼、白麗の3人も見てみたいです (2020年11月3日 21時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - 鮮花さん» リクエストありがとうございます!こっちか、外伝の方に書いてみますね! (2020年10月24日 19時) (レス) id: d89cc95811 (このIDを非表示/違反報告)
鮮花 - リクエストで、番外編で昌平君との話を見てみたいです。「甘めで (2020年10月23日 20時) (レス) id: 23c6c86966 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年10月6日 22時

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