月下美人の君.2

飛竜乗雲.2 ページ41

王騎 「……ンフフフ。
おさがりなさい、A」





A「はい、父上」




信 「…ち、父上？？ え、まさかこいつの娘？

全然似てないッ！」




A 「父上に向かって、こいつだと…。
次言ったら、許さないっ！」



そっとさに納めた剣をまた手をかけようとしていた。自分の発言に思いの外、Aが怒ってしまった事を感じて、信は急に焦り始める。


信 「…い、いや、そのッ／／／
…すいませんでした」



壁・尾平達 ((((あの)信が素直にあやまった！！？？)))



急に出てきた少女に、熱が出そうな程顔を真っ赤にさせ、挙動不審な信の様子に、周りは驚きを隠せず心の中で絶叫した。


Aは謝るなら良し…と言った様子だっが、自分の大切な人が侮辱された事が、やはり苛立つのか「ふんっ」と顔をプイっとさせ、少年には目もくれず王騎の後ろまで下がって行った。


両者のやり取りを見て、「若いっていいですねぇ…騰」、「はっ。姫は罪深いですな」と温かく見守る保護者たち。


その後少年と父上は、「戦は武将のもの」と目の前の麃公将軍と魏の総大将・呉慶の戦いについてまた問答し始めた。


王騎 「…Aもよく見ておきなさい。」


ーーー武将次第で戦はどうにでもなる。
それ程まで、武将という存在の大きい。
Aは王騎と目の前で闘っている二人の武将を目に焼き付けた。


信 「…王騎将軍、馬を一頭貸してくれ、…くださいッ」


少しはAの事も気にしたのか、言葉の使い方を意識する信。王騎将軍との会話で自分が目指す道を思い出したようだった。

馬に飛び乗り、Aとすれ違った際



信 「べ、べべ、別に……ちょっと可愛いなーなんて思ってねえんだからな！！」

と叫び、顔を真っ赤にさせて行ってしまった。


A 「……？？」



不思議な少年だったが、言葉にしないだけで父が認めているのは分かった。むしろ、もっと成長させる為に、あえてあの問答をしていたようにも感じた…。


王騎 「…ココココ。
若いというか、もはや青臭いですねぇ」



大好き父を少し取られたようで、Aは内心信に嫉妬した。信が行ってしまった方向からも、顔をプイッと背け、愛馬の背を撫でた。


✴



A&信 「「あ……名前聞くの忘れた」」


今はまだお互いに、「天使」と「目つきの悪い少年」という事だけしか分かっていない二人だった。


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飛竜乗雲：英雄が時に乗じて、勢いを得ること

【番外編】蒙家であそぼう→←飛竜乗雲

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