Breaking Dawn.8 ページ30
今すぐ目の前の男をひねり殺してやりたい二人だが、Aを人質に取られると思うとうかつに手が出せず、歯をぎりッと噛みしめた。
入り口の方では、楊端和率いる山の民が総攻撃をしている姿が目に入り「皆殺しだ!」という声が響いた。
背後にいる男が右に左へと顔を困惑させ、全身が二人に怯え震えているのが分かる。
Aは隙をついて、思いっきりその男の足を踏み抜いた。
痛みと衝撃で男の顔が歪み、スローモーションのように後ろに倒れていく。
ーーーーその瞬間を蒙恬と王賁は見逃さなかった。
王賁「……それ以上」
蒙恬&王賁「「汚い手でAに触るなッ!!」」
グシャッ!!
二人の剣は、一瞬でその男の首をはねた。
蒙恬は馬を飛び降り、Aの両腕を縛っている縄を切り、倒れ落ちる彼女の身体を支えた。
口にはめられていた布も取り、彼女を縛るものすべてから自由に開放した。
A「……恬」
いつも笑って俺の名前を呼んでくれるその声は、別人のように弱弱しかった。
それでもその顔には微笑みが浮かんでいることから、怪我がないようで安心した。
A「恬、……ごめんね。あの日の夜のこと…」
安心したのか、ぽろぽろ…とAの瞳から真珠のように涙がごぼれる。
欲望が暴走してAを傷つけてしまった夜から、確かに一回も顔を会わせていなかった。
全部、俺が勝手に暴走しただけなのに……。
Aは何も悪くないのに……。
しかも、こんな状況の中でAは自分のことよりも
蒙恬自身のことを心配している………そう分かった瞬間
ーーーーーーー蒙恬はAを力いっぱい抱きしめていた。
蒙恬「……もういい。黙って」
A「……恬っ?」
ギューッと音が出るまでAを抱きしめ体に顔をうずめる。
蒙恬「……お願い。オレから離れようとしないで」
それは我儘だと思って、今まで口にすることが出来なかった本当の気持ちだった。
Aを自分に縛り付けて、その自由を奪ってしまうかもしれない言葉。
だが、自分の気持ちにもう嘘はつけなかった。
ーーーーーーー俺は、Aが好きなんだ。
ストンっと胸に落ちたその気持ち、…それが自分の望みだと今更気づいた。
A「うん。…ずっと恬のそばにいる」
ぎゅっと抱き返しくれたA。
それだけ、ただそれだけで…俺は泣きそうなくらい嬉しかった。
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とも(プロフ) - ついに信が出てきた!絡みが待ちきれません…!!楽しみです! (2020年8月7日 21時) (レス) id: 2ea7dae655 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - あさん» コメありがとうます。嬉しいです。一応原作沿いで行きたいので、まだまだ道のりが長いです…。笑 色んなお話計画しているので、よかったらお付き合いください。 (2020年8月5日 17時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - あさん» 私も蒙恬一番好きです。でも書いていると王賁も不思議と好きになってきます。色んなキャラと絡ませていきたいので、複数ENDになるかもです、お楽しみに。 (2020年8月5日 17時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - ののかさん» コメありがとうございます。更新みてくれて嬉しいです。お気づきかもしれませんが、更新後は誤字脱字も多いので、ちょこちょこ修正してます(笑)これからもお楽しみください。 (2020年8月5日 17時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 蒙恬と王賁が好きすぎる…!この小説の言葉使いが上手で感動してます!この回で蒙恬と結ばれたら、王賁と結ばれる小説も次書いていただけたら本当に幸せです!!頑張ってくださいずっと応援してます!投稿楽しみです! (2020年8月5日 10時) (レス) id: 2ea7dae655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年8月2日 12時