妖姿媚態.6 ページ20
A「王賁くんっ…」
気づいたら、その背中に声をかけて呼び止めていた。
A「……お願い。もう少しだけ、側にいて」
消え入りそうな声で発した言葉は、突き詰めると寂しさの塊だった。まるで、親に捨てられそうな
子どもが必死に甘えているかもように、今は誰でもいいから側にいてほしかった。
王賁は、元気づける言葉をかけるでもなく、面白い話をして気をそらすでもなく。
…ただ、黙ってAの隣に居てくれた。
今のAにとって、彼のその優しさがとても有難かった。
外では鳴り止まない山の民の音楽が、遠く聞こえる。本当に朝まで飲んで、歌って踊っているかもしれない。山の民の体力には冷や汗だ。
酔った身体を気遣ってか、寝たままでいいと言ってくれたので、甘えて横になっている。でも、自分から言い出したのに、甘えてばかりで申し訳なってきたAは王賁にある提案をした。
A「…王賁くんもこっちきて?」
自分の寝ている横のスペースを空けて、平気で誘ってくるA。
途端に真っ赤に染まる王賁の顔。
王賁 「……お前、男を寝屋に誘う意味を分かっているのか///」
A「…???
こっちの方が王賁くんも楽かなって…
いやだった?」
「嫌じゃない。」と即答した王賁だったが、同じ王一族として王騎の性教育はどうなっているのかとため息が出た。
渋々だがAの横に寝ると、すぐクルッとAとは逆方向に向いた。
A「…え、そっち向いちゃうの…(やっぱりイヤだったのかな?)」
背中越しから、悪魔の誘惑のような彼女の声が聞こえてきても、
欲望に負けないように、王賁は必死に我慢した。
王賁 「A…王騎からきちんと教育は受けたのか……その…子どもの作り方とか」
モゴモゴと珍しく口籠ってしまうが、
王一族の正しい男女関係(?)も正統な跡継ぎの責務だと自分に言い聞かせて、頑張る王賁。
A「…子ども?…コウノトリっていう鳥さんが持ってきてくれるんでしょ!…そんなの知ってるよ!」
王賁 「(王騎ッッッーーー!!(グシャ)」
自信ありげに笑う彼女の背中で、王賁は見えないように拳を握り潰した。
はぁぁっ…とため息を吐いて、今度はクルッとAの方に向き直る。
こんなに至近距離でも、ニコニコっと自分を受け入れてくれるAが本当に可愛らしい。
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とも(プロフ) - ついに信が出てきた!絡みが待ちきれません…!!楽しみです! (2020年8月7日 21時) (レス) id: 2ea7dae655 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - あさん» コメありがとうます。嬉しいです。一応原作沿いで行きたいので、まだまだ道のりが長いです…。笑 色んなお話計画しているので、よかったらお付き合いください。 (2020年8月5日 17時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - あさん» 私も蒙恬一番好きです。でも書いていると王賁も不思議と好きになってきます。色んなキャラと絡ませていきたいので、複数ENDになるかもです、お楽しみに。 (2020年8月5日 17時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
09kokoa(プロフ) - ののかさん» コメありがとうございます。更新みてくれて嬉しいです。お気づきかもしれませんが、更新後は誤字脱字も多いので、ちょこちょこ修正してます(笑)これからもお楽しみください。 (2020年8月5日 17時) (レス) id: f05c1b9b36 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 蒙恬と王賁が好きすぎる…!この小説の言葉使いが上手で感動してます!この回で蒙恬と結ばれたら、王賁と結ばれる小説も次書いていただけたら本当に幸せです!!頑張ってくださいずっと応援してます!投稿楽しみです! (2020年8月5日 10時) (レス) id: 2ea7dae655 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:09kokoa | 作成日時:2020年8月2日 12時