月下美人の君.2

Diablo Rojo.4 ページ14

騒がしい天幕を見て、ギョッとして固まっている蒙恬に気づき、王賁も何事かとそちらに視線を向けた瞬間、驚きでさっきまで飲んでいたグラスを地面に落とした。

王賁 「…………なッ！？／／／」


そこには、山の民が奏でる激しい音に合わせて、踊り子の姿をしたAが、美しく妖艶に踊っていた。普段晒すことのない白い肌を、惜しげもなく晒し、その引き締まったくびれが揺れる。


彼女がクルリッと回る度に、艶のある黒髪が揺れ、
触れたら折れそうな細長い足は、大胆にも太ももまで何も身にまとっていなく、男たちの目を魅了していた。


他にも踊り子たちは周りにいるのに、彼女とは比べ者にならない。視覚が、嗅覚が、聴覚が…五感のすべてが彼女に囚われて、目を離すことができない。


彼女の登場に、女も男も関係なく、その美しさにその場にいる全員が魅了され、歓喜の声を上げる。音楽を奏でる者達にも一層力が入り、それに応えようとするように、よりAは激しく踊った。


蒙恬と王賁は、その妖艶な姿に圧倒され、
開いた口が閉まらず、頬を染めることしか出来なかった。


まるで、Aの周りだけ輝ているような…彼女の肌や髪が揺れるたびに、宝石のようにキラキラと眩しい輝きを放っていた。



Aと蒙恬と王賁の瞳とぶつかった瞬間に、
楊端和からの囁きを思い出す。


意中の男を落とす、とっておきの方法…

楊端和「…髪を靡かせろ」


女が男を魅惑する本能のように、
自然な流れで、Aは髪を縛っていた飾りを二人の見の前で解いた。
弾けとび、黒く艶のある髪が左右に流れ落ちる。

流れる髪と一緒に頭も振って、
ーーー落ちてきた髪をかきあげ、二人にパチンッとウィンクした。


蒙恬&王賁 「「ッ！！！！！／／／ドキッ」」



普段の可憐な彼女からは想像できない妖艶さを間近に受けて、
二人の心臓がドクドク…！と暴れて止まらない。



蒙恬 「(ホント……可愛すぎてヤバいッ！
今すぐ抱きしめたい…！)」


王賁 「(…不覚だ。
…心臓が止まるかと思った／／／)」

思わず二人は、鳴りやまない左胸を手でギュッと抑える。

熱く激しい山の民の宴は、三人の気持ちを多いに翻弄した。
こんなにも心の底から熱い思いが止まらない。
三人の中で名前にならなった感情が、ようやく表に現れようとしてきた夜の出来事だった。


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Diablo Rojo：ダンスのイメージソング

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