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チ、チ、チ…
いつもは気にならない時計の秒針の音がいやに耳についた
今私が考えていることは只一つ
…どうやってこの状況を抜け出すか否かである
にっこーり、と最上級の造られた笑顔を携える悟とは対照的に、私はボロを出すまいと口を一文字に固く結んでいた
しかしお互い視線は反らさない…きっと反らした瞬間に敗けが決定する
でも身長差のせいでそろそろ首が限界
そもそも『するのは嫌』に明確な理由があることなんて言ったことはないというのに、目の前の悟はどうしてか理由があると確信している
言ったところでどうするの？
正直に言ったことで私にとっても悟にとっても利があるとは思えない
悟は姉のことを想っていたのだし、無意識にその相手の名前を呟くことなんて何も可笑しいことじゃない(可笑しい)
それでもいいからと悟と一緒にいることを選んだのは自分だ
……どうすれば？！！
真顔からは想像できない程に私の脳内は混迷状態に陥っていた
それを知ってか知らずか笑顔を崩すことなく眺め続ける悟……これは知っている
「あ、の……っ」
「うん？」
「り、ゆうはなくて…、私がそういった行為が苦手なだけで！」
「ダウトー。その答は受け付けられません」
「ぇえ？？！」
突然の嘘つき呼ばわりに衝撃を受ける
しかし事実なので反論できない
次の言い訳を考えるため黙り込んだ私に、悟は小さく溜め息を溢した
それは呆れたものではなく、仕方がないな、とでも言う様な優しいもので私はへたりと眉を下げ俯いた
何だかとても悪いことをした気分になってしまったのだ
「…ごめんね」
「ううん、…でも僕何言われても怒ったりしないよ。あんまり信用ないかな？」
あまりにも悲しそうな色を携えた悟の表情にガツンと衝撃を受ける
今の今、悟が安心していられる場所になりたいという目標を掲げたばかりだというのに…私がウジウジと考えていたせいで悟を不安にさせてしまうなんて
悟は全部知りたいし、知って欲しいと言ってくれた
…全部隠さず話すことが大切だとは思わないが、相手を不安にさせてしまう隠し事はしたくない
揺れ動く私を見下ろしながら、悟は内心ほくそ笑んでいた
きっとこの場に硝子さんがいたのならば、「本当にこのクズで良いのか」と問うていただろうことは私の知るところではない
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夏蜜柑 - 初めまして。こちらの作品大好きです、この作品に出会えてよかったと思ってます✧˖°続き楽しみにお待ちしています！ (2022年12月25日 1時) (
レス) id: dd9c73cc8a (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 続編嬉しいです(≧∇≦)⁎⁺˳✧༚楽しみにしてます！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: b22c7f7e5f (このIDを非表示/違反報告)
にき(プロフ) - わーい初コメですです。めちゃくちゃ面白いです！続編楽しみにしてます！ (2022年8月20日 1時) (レス) @page50 id: 219a3eddad (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - ameyoさん» こんばんは！忘れた頃の返信でもうしわけないですっ。読んで貰えて感想までくださってとっても嬉しいです。ありがとうごさいます！(´▽｀) (2022年8月20日 0時) (レス) @page50 id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
ameyo(プロフ) - 一気に読み進めてしまいました(^^)涙が止まらなくて止まらなくてとっても感動しました！ありがとうございます！こんな素敵な物語に出会えて感動です。後日談もっと読みたいです！お体に気をつけてください！更新楽しみにしてます！ (2022年6月14日 2時) (レス) @page49 id: 9a4641eaa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かのん | 作成日時：2021年4月26日 3時
