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悟は私の連絡不精も知っているため、たまに連絡が帰ってこなくてもこんな狂った様な連絡はしてこない
いつもと今日、一体何が違うというのか
確かに携帯は届けたが、悟からしたらそれだけのことだ
「ーーーあった?」
「!!」
突然背後から声を掛けられビクリと私の体が大袈裟に跳ねる
振り抜くと目隠しを外した悟が美しい蒼の瞳を細め、険しい表情で立っていた
そのまま後から私を抱き締め、私の左腕をゆっくりとした手付きで二の腕、上腕、肘と辿っていくものだからゾワリとくすぐったいのとは違う感覚が身体を駆け巡る
身体を小さく震わせながら堪えていると悟の指はある一点を執拗に撫で始めた
心当たりがある部位に隠すように手を抱き込もうとするが、まるで逃がさないと言わんばかりにすかさず握り締めたられ叶わない
「………指輪、外したの」
私の耳元にやや怒気を孕んだ声を囁く悟に、今度こそ我慢できず身体をがビクンと震える
誤魔化す様にフルフルと首を振った
「あ、の…っ、汚れちゃ駄目だからっ!」
「僕はずっと待ってたよ、つけてくれるの。他の人間には見せておいて僕には見せられない?…それとも怒ってる?瑞季が補助監督として復帰したこと言わなかったから」
「……っあ」
ベロリと耳を舐められ声が洩れる
悟くんが何か勘違いしていることだけは分かった
このまま事を致すのは是が非でも避けたい私は、「待ってっ、…いや!」と力では叶わないと分かりきっているため切実に拒否の言葉を口にした
悟がぴくりと反応すると同時に腕の力が弱まる
私はその隙に腕を抜け出し向い合わせの形を取った
見上げた悟の顔は傷付きに歪められ、瞳は不安気に揺れているのが分かった
私は知らなかった
私が身体を重ねる行為にトラウマに感じているのと同じで、無自覚ではあるが悟も恒常的に過ごす私から突然発された別れの言葉にトラウマめいたものを抱えていたなんて
私は目の前の人の不安を無くしてしまいたくて、だらりとぶら下がったその両手に自分の手を重ねた
「ごめんね…触れられるのが嫌なわけじゃないの。ただお互い勘違いしたままなし崩しになりたくなかっただけ」
「……」
「確かにお姉ちゃんが補助監督として働いてたことには驚いたし、一緒にお昼ご飯に言ったって聞いてモヤモヤしちゃったのも本当。でも、大丈夫だよ」
下から悟の薄暗さを孕んだ瞳を覗き込む
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夏蜜柑 - 初めまして。こちらの作品大好きです、この作品に出会えてよかったと思ってます✧˖°続き楽しみにお待ちしています! (2022年12月25日 1時) (レス) id: dd9c73cc8a (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 続編嬉しいです(≧∇≦)⁎⁺˳✧༚楽しみにしてます! (2022年8月25日 14時) (レス) id: b22c7f7e5f (このIDを非表示/違反報告)
にき(プロフ) - わーい初コメですです。めちゃくちゃ面白いです!続編楽しみにしてます! (2022年8月20日 1時) (レス) @page50 id: 219a3eddad (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - ameyoさん» こんばんは!忘れた頃の返信でもうしわけないですっ。読んで貰えて感想までくださってとっても嬉しいです。ありがとうごさいます!(´▽`) (2022年8月20日 0時) (レス) @page50 id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
ameyo(プロフ) - 一気に読み進めてしまいました(^^)涙が止まらなくて止まらなくてとっても感動しました!ありがとうございます!こんな素敵な物語に出会えて感動です。後日談もっと読みたいです!お体に気をつけてください!更新楽しみにしてます! (2022年6月14日 2時) (レス) @page49 id: 9a4641eaa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年4月26日 3時