お姉ちゃんを好きな人【五条悟】 2

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しかし、そんな恥ずかしい所こそ誰かに見られてしまうもので



「……花子？」



耳馴染みの良い聞きなれた声に、私はぎくりと肩を震わせた
急いで体勢を整え振り向くとやはり見慣れたすらりとした体躯が視界に入る
片手に袋を下げていることからどうやら買い出しに出ていたらしい

良いのか悪いのか分からないのにタイミングに口をつぐんだ


悟は付けていた目隠しを上にヅラし、バサリと乱雑に置いた袋を気にすることなく私の頬に手を這わせる

私は悟のその体温と優しい手付きが凄く心地よくて目を細めて、無意識にもっととねだる様に頬を擦り寄せた

いつもならしない私の仕草に悟が息を飲む

しかし、反対の手でゆっくりと頭を撫で、長く綺麗な指で髪を解いてくれた



「近くで花子の気配がするし、見つけたと思ったら門に寄り掛かってるし…驚いた。体調悪いの？大丈夫？」

「……うん、平気。心配掛けてごめんなさい」

「良かった…」


心底安堵し息を着く悟に先程と違った意味の温かさを身体が満たすのが分かった


「珍しいね、高専に用？まさかまだ術師に復帰しようなんか考えてないよな」


問い詰める様に言われるが、表情からは心底私を心配してくれているんだということが窺える

それは私が壁を作らなければ容易に見ることができた景色だ


ごめんなさい
見なかった振りをして

ありがとう
諦めずにいてくれて





「悟に会いたかったの」





その言葉に悟の瞳がゆっくりと見開かれる






「ごめんね…悟が『好きだ』って言ってくれた言葉を知らない振りして。信じられない振りして

本当は私が臆病だっただけ

悟が離れていく未来ばっかりが頭に浮かんで…今の悟の気持ちを見ようともしなかった

そんな自分が情けなくて、大嫌いで


でも…」



本当はもっと伝えたいことがあるのに
言葉足らずな私は10ある１も伝えられない

歯痒くて、どうか少しでも伝わりますようにと頬に添えられた悟の手に自分の手を重ねる




「すき…



悟が大好き」





今自分が出来る精一杯の笑顔を向ける



瞬間、身体を引き寄せられ息が詰まる程に力強く掻き抱かれた

悟の頭は私の肩に埋められ、どんな表情をしているかは分からない



でも
胸の奥が温かくて、ジーンとして



ただ、幸せだった





「ごめんなさい…ごめんなさい…っ、」






諦めないでくれて


ありがとう

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