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「ありがとう…翔くん」
自分がどんな表情をしていたかは分からない
だけど一瞬目を見開いた翔くんは目を細め「どういたしまして」と笑ってくれた
高専に入学するまでは知らなかった
バレンタイン
ホワイトデー
クリスマス
お正月
誕生日
世間では沢山の「おめでとう」や「ありがとう」が存在する
初めて誰かに祝われたのは去年
『花子って今日誕生日でしょ？どっか行きたいトコない？行こーよ』
悟にとっては気まぐれな何気ないひと言だったんだろう
あの日初めて知った
涙が出る程の嬉しいの気持ち
悟の中では世間体の意味もあったのだろう
それでも嬉しくて嬉しくて
……だから間違えた
どうやったって手に入ることがないものを求めてすがりつく浅ましさと醜さ
やっと気付けたのはその次の…この間の私の誕生日のお陰ともいえる
だからこそこうやって純粋に何かを祝われて、ましてや贈り物を貰うのは初めてで
「……嬉しい」
「花子ちゃん…？」
きゅっと抱き締めるように胸に紙袋を抱く私に翔くんは不思議そうに首を傾げる
瞳にはやや心配の色が浮かんでいて少しくすぐったく感じたが嫌ではなかった
「大事に飾るね」
「飲んで？？！遺品じゃないんだから！！」
どっひゃあ！、と言わんばかりの翔くんの顔が面白くて今度こそ小さく笑い声が溢れた
カードキーを翳すと冷たい扉からカチャリと音が発せられ解錠を知らせる
いつものように扉を開くと日本人の平均よりも大きいであろう男物の靴が玄関に乱雑に脱ぎ捨てられていた
見覚えのあるそれはこの家の主の在宅を示している
珍しいな、と不思議に思った
悟は粗雑そうに見えても、どちらかというと綺麗好きな部類である
彼の出生も関係しているのか所作も綺麗で余程疲れている時でないと、靴や服を脱ぎ散らかしたりはしない
反転術式もあり悟が何気ない任務で怪我を負うとは思えないが…
上層部と何かトラブルでもあったのだろうか
心配が先走るが取り敢えず自分と悟の靴を揃えてリビングに続くドアを開いた
まだ昼過ぎなので電気は付けずとも明るく室内を照らしている
しかしどうしたことか…雰囲気にそこはかとない違和感を感じた
いつもは私の気配をいち早く察して出迎えてくれる筈の悟の姿が見えないからか
荷物を置くのも忘れ、チラリと悟の部屋を一瞥するが固く閉ざされていて開かれる様子はない
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夏蜜柑 - 初めまして。こちらの作品大好きです、この作品に出会えてよかったと思ってます✧˖°続き楽しみにお待ちしています！ (2022年12月25日 1時) (
レス) id: dd9c73cc8a (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 続編嬉しいです(≧∇≦)⁎⁺˳✧༚楽しみにしてます！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: b22c7f7e5f (このIDを非表示/違反報告)
にき(プロフ) - わーい初コメですです。めちゃくちゃ面白いです！続編楽しみにしてます！ (2022年8月20日 1時) (レス) @page50 id: 219a3eddad (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - ameyoさん» こんばんは！忘れた頃の返信でもうしわけないですっ。読んで貰えて感想までくださってとっても嬉しいです。ありがとうごさいます！(´▽｀) (2022年8月20日 0時) (レス) @page50 id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
ameyo(プロフ) - 一気に読み進めてしまいました(^^)涙が止まらなくて止まらなくてとっても感動しました！ありがとうございます！こんな素敵な物語に出会えて感動です。後日談もっと読みたいです！お体に気をつけてください！更新楽しみにしてます！ (2022年6月14日 2時) (レス) @page49 id: 9a4641eaa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かのん | 作成日時：2021年4月26日 3時
