暮れゆく空の彼方に

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そこに写っていないなんて

わかっているはずなのに。

それでも、どれだけアルバムのページをめくっても

頭の中にいるのは柊生のことで。




家族ぐるみの付き合いだった私ですら

家の都合で道外へ引っ越したっていう情報以外

結局知らずに気づいたら7年が経とうとしていた。

甘いような苦いような複雑な青春時代の思い出は

薄れつつはあるけれど、でも確実に、

まだ心の隅っこで生きてるんだって改めて実感した


夜も次第に更けてきて、

気づいたら私は眠りに落ちていた。





週末。

隣には今まで一緒にいた中で

一番目をキラキラさせている陽菜がいる。



「もうすぐ匠海くんに会えるなんて夢みたい！

どうしよう！」





会場の都内で有名な大型ショッピングモールに

着いたあたりから歩くスピードが段々

速くなってる。

いくらなんでもはしゃぎすぎじゃない？

私達もう今年で20歳だよ？笑



てっきりトークショー的なやつなんだと

思ってたんだけど、

ステージについたら周りに集まっている女の子は

みんな両手にペンライトをもってる。



横を見たら陽菜もトートバッグから

青いペンライトを2本取り出し始めた。

え？なにこれ。





「ねえ、これって匠海くんのトークショーとかじゃ

ないの？」


「あれ？言ってなかったっけ、

匠海くんがボーカルをしてるDISH//っていう

ダンスロックバンドのライブだよ！」


「初耳だよ！？！？」





そんなやりとりをしてたらいきなり

キャーーーーーーーッって

すっっっっごい声量の歓声とともに

そのDISH//らしき4人が現れた。


「ほら！！まんなかにいるのが匠海くんだよ！！

ていうかヤバい超かっこいい…」



そのほかのメンバーもご丁寧に紹介してくれる陽菜。


「たくみくんの左にいる、ギター持ってるのが

まーくん！コーラスは綺麗だし、面白いし、

頭も良いんだよ！！」

「右に居るのがベースとラップの龍二！低い声と

三日月スマイルのギャップがやばいんだよね〜」


ほうほう。

たしかにみんなイケメンだな…とか思ったところで


「じゃあ自己紹介するよ〜！！」

ってまだ紹介されてない彼が元気よく言った。



茶髪にパッチリ二重にぷっくりとした涙袋に、

シュッと筋が通った鼻。









え、私、この人知ってる。









「はい！19歳DISH//の…」

彼が思い切り右手をあげて叫んだ言葉と













「「To-iです！！！！」」

「「…柊生？」」






私のつぶやきが重なった。

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