HELLO HELLO ページ3
ラウール初主演のはちみつソーダで私が作詞作曲をした楽曲が選んでもらえた。
ラウは本当にうれしそうにしてくれたから私はその笑顔が見れただけで十分すぎる報酬をもらっていた。
「Aの印象もたぶん変わるんじゃないかな」
『…バラードの方が多かったからね』
「太陽が似合うよもそうだけど、俺はこういうポップなかわいらしいAの曲も好きだな」
阿部の言葉にそういうものか、と考えながらファンのみんなのコメントを見て小さく微笑んだ。
私にできるのは私の曲を歌って輝いているみんなを思い浮かべること。
SnowManという宝石箱をどうやって輝かせるか、そればかり考えてしまうのだ。
「Aのもっとかわいいところとかみんなに見せて行けたらいいよね」
『…あざといのは、あまり得意じゃない』
「そんなことないと思うんだけどなぁ」
グループを組んだ頃から阿部にそう言われてきたが、この年で今更かわいらしさとかはできないと思っている。
女の子らしく育ってきたのかと聞かれれば答えはNoだから。
「しげはきっとAが普通の女の子だと思ってるよ」
『いちいちあの人の名前出さないで』
阿部の言葉は自分が一番よくわかっているのだ。
あの人が初めて泣いてもいいのだとこの業界に入ってから重ねてきた殻の内側にはいってきてくれたから。
いつの間にかいろんな肩書が増えていて、それを全て背負って立たなければいけない状況にいつしか追い込まれていた。
しげだけは私のことをただの雪村Aとして見てくれているから、それだけで救われたのだ。
「A、阿部ちゃん！そろそろ始めるってさ」
『…了解』「は〜い」
あざといのは阿部の方で、私はほんわかした返事を目黒に返す阿部をみて、小さく息を零した。
「女のAより阿部ちゃんと康二のほうがあざといね」
『わかりきったことでしょ。言うな』
ダンス動画を流しながら全員で再確認を取るなかでどうしてもジャニーズらしい男の子っぽい振りになってしまう私を指さして言ってくる目黒を人にらみする。
「Aはあまり慣れてないからな〜」
「昔からザ・ジャニーズって曲ばっかりだったからな」
辰哉たちに笑われて、BBB以来の悲惨さに私は眉間を抑えた。
こういうふわふわとした曲を作ることはできても踊るのは向いていないと頭を抱えたくなった。
「一緒に練習しようね」
『……そうしようか』
ラウに言われて私はおとなしく練習に入った。
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作者名：重岡優月 | 作成日時：2022年9月16日 14時
