雪の中に咲く一輪華 (ページ6)

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青空ページ6

リモートでのＹｏｕＴｕｂｅの撮影後、スマホにピコんと連絡が入った。
メンバーでそのまま話していたが、一言声を掛けてスマホを見る。

『……』

「花音どうした？」

翔太に声を掛けられて苦笑いする。
きっと顔に出ていたのだろう、不安な表情をしてしまった自覚はある。

『ごめん、曲作りはやめてほしいって依頼来たから先に席外す。』

照の報道があってから、ドタバタになっていて、やっと復帰のめどが立つようになってきたタイミングでシングルに収録を推されていた。

「曲、もうほぼできてるんだろ？」

『…うん。あとはブラッシュアップするだけかな』

「今の段階のデモ聞かせてよ。俺らもなんか意見だせんじゃね？」

珍しい翔太の提案にメンバーも驚いていた。
私も今までは作詞は手伝ってもらうことはあっても、作曲を手伝ってもらうことはなかったから驚いた。

「Aがいいなら、その方がいいかもね」

「頼りすぎってことはあるもんね」

阿部ちゃんや目黒にも言われて私はそっとパソコンのデータを開く。

『まだブラッシュアップしてない段階だから、それを踏まえて聞いてほしい。
治してほしいところは治すから』

ラウや康二は言えないよって言っていたが、今の段階に満足はしていなかったから、なんでもいいから言っていいとフルで聞いてもらった。

阿部ちゃんや佐久間を中心にいろんな意見がでて、それをパソコンアプリのメモに全部書き残す。
言い出しっぺの翔太は何回も聞いているようで会話にも入ってこない。

「翔太～？なんか気になるところとかあんの？」

気にしている私に気が付いて、辰哉が聞いてくれた。
翔太はうーんと腕を組んでそれからへらっと笑った。

「わっかんね！！俺からしたら悪いってとこは相変わらずねぇな！」

自慢げに自分のことかのように言ってくれたその言葉に視界がクリアになる。
翔太が嘘をつけるような人じゃないことは嫌って程知っている。
心のどこかにあった重たいものが降ろされた。

「音域も問題ねぇし、綺麗なメロディーだと思うから……言っといてなんだけど、俺じゃどこが悪いかわかんね」

『………歌いたいって思う？』

いつもなら完成したものを歌ってほしいとみんなに見せるだけだけど、今回は初めて自分から聞いた。

「歌いたい」

ラウをはじめ、みんながそう言ってくれた。
それだけで、この曲を作ってよかったと心から思えた。
この曲を完成させたいと思えた。